令和8年度「観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業」とは
目次
令和8年度「観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業」とは(観光庁)
令和8年度に創設された「観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業」は、急増するインバウンド需要の地域偏在やオーバーツーリズムの問題を解決し、観光消費を全国に拡大することを目的としています。
訪日外国人旅行者は現在、都市部など特定地域に集中しがちで、一部地域では観光客過多(オーバーツーリズム)が顕在化しています。また、訪日客の消費動向を見ると、諸外国での滞在時と比べて日本では娯楽サービスへの支出額が低い傾向にあり、魅力的な観光コンテンツの提供が十分でない課題も指摘されています。
こうした背景から、本事業では観光による経済効果を日本各地に波及させるとともに、地方への持続的な誘客によってオーバーツーリズム解消につなげることを狙いとしています。具体的には、地方公共団体やDMO、民間事業者等が地域の多様な資源を活用して魅力ある観光コンテンツを創出・提供し、インバウンド観光客の需要を都市部から地方へ分散させる取組を支援します。
さらに高付加価値な観光体験(高単価コンテンツ)や、地域産業への波及効果が期待できるガストロノミー(食の体験)分野のコンテンツにも重点支援を行い、観光コンテンツの供給拡大と質向上を図ります。同時に、観光の付加価値を高めるために観光ガイド人材の質的向上(スキル研修や評価制度の整備等)も必要とされており、本事業ではコンテンツ造成とあわせてガイドの質向上策も推進されます。

1. この事業の狙い
訪日外国人旅行者の訪問先が一部地域に偏ることで起きる混雑や地域負担を和らげ、観光の経済効果を全国に広げるために、 「需要分散に役立つ観光コンテンツの供給」を増やすことが狙いです。
本事業は、単に体験を作ることだけを支援対象にするのではなく、情報発信や販売先の開拓まで含めて支援対象としている点が重要です。 需要分散の必要性に加えて、継続販売につながる「ネット上での効果的な情報発信」を促す方向性が示されています。
2. どんな取組が対象か(3類型)
公開資料では、本事業の取組は大きく3類型で整理されています。類型ごとに「何をしたい事業者に向くか」が明確に分かれています。
| 類型 | ねらい(要旨) | 向いているケース(判断の目安) |
|---|---|---|
| 新創出型 | 地域資源を使って、新たに本格的な観光コンテンツを造成し、情報発信・販売先開拓まで一体で進める | これから新商品を作り、販売導線(売り先・売り方)も同時に作りたい |
| 品質向上型 | 既存コンテンツを、より高単価で売れる水準まで改善・高度化する | すでに体験はあるが、価格、満足度、運営品質を上げたい(高付加価値化したい) |
| 分野特化型(食文化) | 地域の食資源を軸に、地域の事業者連携も含めて質の高い食文化体験を造成し、販路を作る | 食を主役にした体験で、地域産業への波及も狙いながら、販売まで作りたい |
類型選択は、申請書の骨格(目的、内容、体制、費用、販路)を決める最初の分岐です。 自社の計画が「新規造成」なのか「既存改善」なのか「食文化を軸に地域連携まで設計する」のかを、ここで先に確定させるのが安全です。
3. 補助額・補助率
本事業の補助は、「一定額までは定額(その範囲は実質全額)」「それを超える部分は2分の1」という構造です。 ここは誤解が起きやすいので、制度の読み方として先に押さえる必要があります。
| 類型 | 仕組み(事業費に対して) | 最低事業費 | 実質の補助上限(計算結果) |
|---|---|---|---|
| 新創出型 | 400万円まで定額、超える部分は事業費2,100万円まで2分の1 | 600万円 | 1,250万円 |
| 分野特化型(食文化) | 400万円まで定額、超える部分は事業費2,500万円まで2分の1 | 600万円 | 1,450万円 |
| 品質向上型 | 800万円まで定額、超える部分は事業費4,200万円まで2分の1 | 1,200万円 | 2,500万円 |
上限額(新創出型1,250万円、品質向上型2,500万円、分野特化型1,450万円)は、交付要綱の別紙に明記されている、という整理です。
つまずきやすい点は、「定額=決まった額しか出ない」という誤解です。この制度での定額は、 「定額枠の範囲は、事業費に対して定額(上限まで実質全額)」という意味合いになります。
例として、新創出型で事業費が600万円の場合、最初の400万円は定額、残り200万円は2分の1なので、合計500万円が上限の目安になります。 ただし、最終的な補助対象経費の確定や条件の適用は、公募要領・手引き・審査(交付手続)で確定するため、最終判断は公募要領で確認が必要です。
4. 誰が申請できるか(対象者)
事業サイトおよび観光庁資料では、地方公共団体、観光地域づくり法人(DMO)、民間事業者等が対象として示されています。
公募期間(申請受付期間)は令和8年2月27日(金)13:00から4月2日(木)12:00までと予定されています(締切厳守)。
5. 対象経費
公開資料の範囲で、本事業の支援対象として示されているのは、観光コンテンツの造成、効果的な情報発信、販路開拓などに要する経費です。 つまり「作る」だけではなく「売る」まで含めて支援の射程に入っています。
ただし、どこまでが対象で、何が対象外か(設備の扱い、外注の範囲、広告の扱い、旅費の扱い、消費税の扱い等)は、公募要領・経費の手引きで最終確定します。 観光庁資料でも、補助対象経費や補助要件、公募方法は詳細協議の上で決める旨が書かれている、という整理です。
申請者として「経費の切り方」を具体的にイメージするための参考モデルとして、類似の観光庁補助金(地域観光魅力向上事業)では、 対象経費を「造成」「設備・備品」「販売基盤整備・広報」に分け、 企画開発、専門家の意見聴取、ガイド育成、写真・動画・ホームページ制作、販路拡大のための取組などの例が示されています。
本事業でも同じ分類になると断言はできません。 ただし、申請書作成の実務としては、「造成」「情報発信」「販路開拓」を一本の流れとして設計し、それぞれに必要な経費を紐づけて説明する構成が、制度目的に整合しやすい設計になります。
6. 過去の類似事業の採択例(業種・テーマ別)
本事業そのものの採択結果は今後になります。 ここでは、近い目的の観光庁事業における採択テーマを「業種・テーマ」別に分類し、申請企画の方向性をつかむための例として整理します。
| 業種・テーマ | 採択例(類似事業の実例) | 企画の骨格(読み取り) |
|---|---|---|
| 食文化(ガストロノミー) | 「知床ねむろ『生産空間×ガストロノミー×アクティビティ』…」/「活火山×ガストロノミー…滞在型…」 | 食を単体で売らず、産地・体験・地域移動と組み合わせて「滞在」につなげる |
| 文化体験・祭り | 「ディープな青森ねぶたのフル体験…」/「帯広アイヌ古式舞踊…高付加価値…」 | 見学だけでなく、背景理解や参加型に寄せて価値を上げる |
| 自然体験・アウトドア | 「大雪山・十勝岳連峰アドベンチャーツアー…」/「サロマ湖とオホーツク海で絶景体験…」 | その地域でしか成立しない季節性・希少性を前面に出す |
| ものづくり・職人 | 「観光客が知らない『職人技』…小樽…」/「漆と金具の美を体験する仙台箪笥の旅…」 | 工房・制作背景・地域の暮らしと結び付け、学びと体験で単価を上げる |
| 周遊・交通と組み合わせ | 「観光列車…Bistro…」/「鉄道×地域×観光…沿線…」 | 目的地単発ではなく、移動そのものを価値にして分散と周遊を作る |
本事業の狙いが「需要分散」と「高付加価値(高単価)化」にあるため、 上のように「地域にしかない資源」を核にしつつ、「売り方(販路)」まで設計している企画が、類似事業では目立つという整理になります。

7. 審査で見られやすいポイント
本事業の審査基準は、公募要領で確定します。現時点では公開範囲が限られるため、ここでは「確定して言えること」と「参考モデル(類似事業)」を分けます。
1. 確定して言えること(公開資料の範囲)
本事業は「造成して終わり」ではなく「需要分散に資する観光コンテンツの供給を増やし、情報発信と販路開拓まで含めて支援する」設計である、 という事業趣旨が示されています。したがって、申請書でも「販売までの道筋」を計画として持っているかが論点になりやすい構造です。
2. 参考モデル(類似の観光庁事業の公募要領等に見られる評価観点)
類似事業では、地域全体への効果(地域の関係者を巻き込めているか、地域への経済波及が厚いか)、 地域ならではの独自性、計画の具体性(目標・方法・費用内訳・販売設計が具体的か)、 実施体制と継続性(事業が終わっても回るか、販売する事業者が明確か)、 収益性(価格・コスト・販路が現実的で自走できるか)といった観点で評価する形が示されています。
本事業でも「販売までの道筋」は重視される可能性が高いです。 ただし、何をどの比重で評価するかは公募要領で確定するため、必ず公募要領公開後に、審査項目に合わせて申請書の見出し構造を調整してください。
8. 申請書類と申請の流れ
1. 確定している情報(公募期間)
公募期間は、令和8年2月27日13:00から4月2日12:00までで、締切厳守とされています。
2. 申請方法・提出様式(今後の公開で確定)
申請方法(申請ページ、提出様式一式など)は、事業サイトで周知される運用です。 説明会終了後に資料・Q&Aをサイトで公開予定と明記されています。
3. 採択後の手続まで含めた全体像(参考)
採択後の手続まで含めた全体像は、公募要領で確定します。 参考として、類似事業では、応募→(有識者を含む)委員会で審査→採択通知→交付申請→交付決定後に事業開始→進捗報告→完了実績報告と精算書類→審査後に補助金支払い、という流れが示されています。
また、類似事業では「交付決定前の発注・契約・支出は補助対象外」と明記されています。 これは多くの補助金で共通のため、準備段階で先に契約しない運用設計が重要になります。 実務としては、企画・見積・仕様固めは進めつつ、契約・発注・支払いのタイミングは交付決定後にずらせる体制にしておくのが安全です。
9. 本事業ならではの特徴
観光庁資料では、採択された事業者に対して、専門家派遣などの伴走支援、海外イベント出展などの海外向け情報発信が行われる予定であることが示されています。
また、説明会案内資料等では、コンテンツ造成に加えて、ガイド人材の質の向上(研修設計、評価と報酬の仕組みなど)を調査・整備する方向性が書かれている、という整理です。
申請計画では、「誰が案内し、どんな品質で提供するか」まで含めて説明できると、制度の狙いに沿いやすくなります。 具体的には、提供品質の設計(研修、運用ルール、評価方法)、提供者の確保(雇用・委託・地域連携)、品質に見合う価格設定、販売先(どこで売るか)を、同じ紙面上で接続して説明できる構成が望ましいです。
10. 公式情報(確認先・問い合わせ)
事業サイト(観光庁の特設サイト)に、説明会情報、資料公開(説明会後の資料・Q&A公開予定)、申請方法の案内、問い合わせ先が掲載される運用とされています。
本事業は、公募要領・様式・経費の手引き等が「順次公開」される前提のため、申請準備は次の順番で進めるのが合理的です。 まず類型(新創出/品質向上/食文化)を確定し、次に販売設計(誰に、いくらで、どこで売るか)を固め、 その後に公開された公募要領の提出書類・対象経費の確定ルールに合わせて、経費・体制・スケジュールを調整して申請書に落とし込みます。
弊所では、観光系補助金・省力化補助金・ものづくり補助金などの申請を専門的にサポートしています。初回相談は40分無料です。
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