法人の種類と選び方|株式会社・合同会社・NPO法人など7類型を比較表で解説

法人の種類と選び方

株式会社・合同会社・NPO法人など7類型の違いを
設立費用・責任形態・設立人数まで一覧比較で解説します。

行政書士 潮海俊吾
執筆・監修:行政書士 潮海 俊吾
京都府行政書士会(登録番号19272132号)
会社設立・補助金サポート実績 105社超
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【結論】法人には、営利4類型(株式会社・合同会社・合資会社・合名会社)と非営利3類型(NPO法人・一般社団法人・一般財団法人)の計7つの選択肢があります。営利目的なら実質は株式会社か合同会社の2択で、信用・資金調達を重視するなら株式会社(設立費用 約25〜30万円)、費用・機動性を重視するなら合同会社(約6〜10万円)が基本です。合同会社から株式会社への組織変更も可能です。

30秒でわかる:法人の種類と選び方

・法人は営利4類型(株式会社・合同会社・合資会社・合名会社)+非営利3類型(NPO法人・一般社団法人・一般財団法人)の計7つです。
・営利目的なら実質は株式会社か合同会社の2択です。
・株式会社=社会的信用・資金調達に強く、出資者と経営者を分離できます。設立費用は約25〜30万円・期間2〜3週間。
・合同会社=出資者=経営者でシンプル・低コスト。設立費用は約6〜10万円・期間1〜2週間、定款認証不要・役員任期や決算公告もありません。
・将来VCから出資を受けたいなら株式会社一択(合同会社は株式を発行できません)。合同会社→株式会社の組織変更も可能です。
・法人化を検討する一つの目安は、年間の事業所得が概ね800万〜1,000万円を超えるあたり(個別は税理士に相談)。
・非営利法人も収益事業や給与支払いは可能で、禁止されているのは構成員への利益分配だけです。

これから法人設立を考えている個人事業主やサラリーマンの方向けに、法人の種類と選び方を解説します。「株式会社と合同会社、どちらが自分に合っているか」「非営利法人はどういう場面で使うのか」といった疑問に、会社設立を実際に代行している行政書士の実務目線でお答えします。税務の損得だけでなく、定款・公証人認証の要否・設立人数・許認可といった「手続きで実際につまずく点」まで踏み込んで整理しているのが、この記事の特徴です。

動画でわかる 法人の種類と選び方(要約)

音楽:魔王魂

本記事の内容
法人とは?(個人事業主との違い)

法人の全体像(公法人・私法人・営利・非営利)

7類型の全比較テーブル

営利法人4類型の解説

非営利法人3類型の解説

選び方フロー(3ステップ簡易診断)

法人設立後に使える補助金

よくある質問

まとめ

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1. 法人とは?

法人とは、法律上の権利・義務の主体として認められた「人以外の存在」です。自然人(個人)と同様に、契約を結んだり、財産を持ったり、訴訟の当事者になったりすることができます。

要するに

「会社」という架空の箱に、人間と同じような権利と義務を与えるのが法人設立です。個人事業主としてやっていたことを、「会社として」やるための仕組みです。

個人事業主との違い

比較項目個人事業主法人
設立手続き税務署に開業届を出すだけ定款作成→認証→登記(数週間〜数ヶ月)
設立費用0円約6万〜30万円(形態による)
社会的信用個人名での取引法人名での取引(信用度が高い)
責任範囲無限責任(全財産が対象)有限責任が多い(出資額が上限)
税金所得税(累進課税、最大45%)法人税(一律約23.2%、中小は15%特例あり)
社会保険国民健康保険・国民年金健康保険・厚生年金(半額会社負担)

一般的に、年間の事業所得が800万〜1,000万円を超えるあたりから、法人化した方が税負担を含めた総合的なメリットが大きくなると言われています。ただし個別の状況により異なるため、税理士への相談をお勧めします。

2. 法人の全体像

法人は大きく「公法人」(国・地方公共団体・独立行政法人など)と「私法人」に分かれます。個人が設立するのは私法人で、さらに「営利法人」「非営利法人」に分かれます。

営利法人

構成員(株主など)への利益分配を目的とする法人。株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4つ。

非営利法人

利益を上げること自体は問題ないが、構成員への利益分配はできない法人。NPO法人・一般社団法人・一般財団法人の3つ。活動目的のための費用として使う必要がある。

よくある誤解:「非営利法人=利益を上げてはいけない」は誤りです。収益事業を行うことも、従業員に給料を支払うことも可能です。禁止されているのは「構成員(理事・社員等)への利益分配」です。

3. 7類型の全比較テーブル

法人設立を検討する際に最も重要な項目を一覧で比較します。

項目 株式会社 合同会社 合資会社 合名会社 NPO法人 一般社団法人 一般財団法人
分類 営利営利営利営利 非営利非営利非営利
設立費用目安 約25〜30万円 約6〜10万円 約6〜10万円 約6〜10万円 数万円程度 約11万円 約11万円+300万円
設立期間 2〜3週間1〜2週間1〜2週間1〜2週間 約5ヶ月2〜3週間2〜3週間
最低人数 1名1名2名1名 10名以上2名以上7名(理事3+評議員3+監事1)
責任形態 有限責任有限責任有限+無限無限責任
定款認証 必要不要不要不要 不要(認証が必要)必要必要
資本金 1円〜1円〜不要(現物可)不要(現物可) 不要不要300万円以上
出資者と経営者 分離可能同一同一同一
利益分配 可(配当) 不可不可不可
社会的信用 高い中程度低い低い 高い中〜高中〜高

※設立費用は定款認証手数料(3〜5万円)、登録免許税(株式会社15万円、持分会社6万円、一般社団・財団6万円)、その他実費の合計目安です。電子定款を利用すれば印紙代4万円が不要になります。なお2024年12月以降、発起人が自然人3人以内・全株引受・取締役会非設置などの要件を満たす資本金100万円未満の株式会社は、定款認証手数料が1万5,000円に引き下げられています。

※会社設立に必須の電子定款の詳しい解説はこちら/資本金の決め方は借入金は資本金にできる?の記事もご覧ください。

4. 営利法人4類型の解説

① 株式会社

株式を発行して資金を集める、最も一般的な会社形態です。出資者(株主)と経営者(取締役)が分離できる「所有と経営の分離」が最大の特徴。取引先から「法人化が条件」と言われた場合、まず検討すべき選択肢です。

向いている人:将来的な事業拡大を目指す方、外部からの資金調達を視野に入れている方、対外的な信用を重視する方、従業員を雇用して組織として成長させたい方

② 合同会社

2006年の会社法で新設された形態で、アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルにしています。出資者=経営者であり、出資した社員全員に会社の決定権があります。ここでいう「社員」は従業員ではなく、出資者兼役員のことです。

設立費用が株式会社の約1/3で済み、株主総会や役員任期の更新も不要。Amazon Japan、Apple Japan、Google合同会社など、大手外資系企業にも多く採用されている形態です。

向いている人:少人数で機動的に経営したい方、設立費用を抑えたい方、家族経営やフリーランスの法人化を考えている方

③ 合資会社

有限責任社員(出資額が損害の上限)と無限責任社員(私財を投入してでも返済義務あり)の両方で構成される会社形態です。設立費用は低いものの、無限責任社員のリスクが大きく、現在では新規設立は稀です。

④ 合名会社

無限責任社員のみで構成される会社形態です。取締役や監査役が不要で内部機関がシンプルですが、社員全員が無限責任を負うため、リスクが最も大きい形態です。

持分会社について:合同会社・合資会社・合名会社の3つをまとめて「持分会社」と呼びます。いずれも社員=出資者が直接経営に携わる点が共通していますが、実務上は合同会社が圧倒的に選ばれており、合資会社・合名会社の新規設立はほとんどありません。

5. 非営利法人3類型の解説

⑤ NPO法人(特定非営利活動法人)

保健・福祉・まちづくり・環境保全・国際協力など、法律で定められた20分野の特定非営利活動を行うための法人です。社会的な知名度と信頼性が高い一方、設立ハードルも高くなっています。

設立要件内容
構成員10名以上
役員報酬報酬を受ける役員は総数の1/3以下
認証都道府県知事または指定都市の長の認証が必要
設立期間5ヶ月

⑥ 一般社団法人

NPO法人と同じ非営利法人ですが、活動分野の制限がありません。特別な認証も不要で、株式会社と同様に定款認証+登記で設立が完了します。2名以上で設立でき、期間も2〜3週間と、NPO法人に比べてはるかに手軽です。業界団体、同業者組合、資格認定機関などに多く使われています。

⑦ 一般財団法人

一般社団法人が「人の集まり」なら、一般財団法人は「財産の集まり」です。寄付された財産をもとに活動する法人で、設立には300万円以上の財産理事3名・評議員3名・監事1名の計7名が必要です。奨学金事業や文化支援などに利用されています。

6. 選び方フロー(3ステップ簡易診断)

「結局どれを選べばいいのか」を、3つの質問で絞り込めます。上から順に答えてください。

Q1. 利益を構成員(自分・出資者)に分配しますか?

分配する(営利目的)→ Q2へ。 分配しない(社会的活動・会費運営)→ Q3へ。

Q2.〔営利の場合〕将来の出資受け入れ・対外信用を重視しますか?

重視する/取引先や採用で信用が要る → 株式会社(約25〜30万円)。 少人数・低コスト・スピード重視 → 合同会社(約6〜10万円)。合同会社で始めて後から株式会社へ組織変更も可能です。

Q3.〔非営利の場合〕活動内容と体制はどれに近いですか?

法定20分野の社会貢献活動で知名度を重視 → NPO法人(10名以上・認証で約5ヶ月)。 分野自由で手早く設立 → 一般社団法人(2名以上・2〜3週間)。 まとまった財産で運営 → 一般財団法人(300万円+7名)。

営利なら「株式会社 vs 合同会社」の早見表

比較項目株式会社合同会社
社会的信用高い(取引先・採用に有利)近年増加中だが説明が必要な場面あり
設立費用約25〜30万円約6〜10万円
出資者と経営者分離可能(株主≠社長)同一(出資者=経営者)
意思決定株主総会・取締役会が必要出資者全員で柔軟に決定
資金調達株式発行・VC出資など幅広い選択肢は限定的
役員任期最長10年(更新手続き+登記費用あり)任期なし
決算公告義務あり義務なし
向いている人拡大志向・信用重視・外部取引多い少人数・低コスト・機動性重視

行政書士からの実務アドバイス

・取引先から「法人化が条件」と言われた → 株式会社が無難
・フリーランスの法人化、夫婦での事業 → 合同会社で十分
・将来VCから出資を受けたい → 株式会社一択(合同会社は株式が発行できない)
・とにかく費用を抑えて早く設立したい → 合同会社(最短1週間、費用約6万円〜)
・合同会社で設立後、事業拡大に伴い株式会社への組織変更も可能です

法人化で得られる主な税務メリット

株式会社・合同会社いずれの場合も、個人事業主にはない以下の税務メリットを享受できます。

役員報酬の損金算入

自身への給与(役員報酬)を会社の経費として計上可能。さらに給与所得控除も適用されるため、二重の節税効果があります。

社宅制度の活用

自宅を社宅にすることで、家賃の一部を経費計上可能。個人事業主では「事業按分」しかできない部分を、法人なら制度として正式に活用できます。

法人税率の優位性

個人の所得税は最大45%(+住民税10%)の累進課税ですが、法人税は実効税率で約23%(中小企業の年800万円以下の部分は約15%)。売上規模が大きくなるほど法人化のメリットが拡大します。

7. 法人設立後に使える補助金

法人を設立した後、事業拡大や設備投資のために活用できる補助金が多数あります。特に中小企業・小規模事業者は、以下の制度が利用しやすいです。銀行や会計ソフトの解説にはない、補助金まで見据えた設立サポートが、当事務所(補助金実績105社超)の強みです。

小規模事業者持続化補助金最大250万円

販路開拓やHP制作、広告宣伝費等を支援。創業間もない企業にも使いやすい制度。

▶ 2026年度 詳細記事

ものづくり補助金最大4,000万円

新製品・新サービスの開発や設備投資を支援。法人設立後の本格的な投資に。

▶ 2026年度 詳細記事

デジタル化・AI導入補助金最大450万円

会計ソフト、顧客管理、予約システム等のITツール導入費用を支援。法人化と同時にDXを進められる。

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8. よくある質問

Q. 法人にはどんな種類がありますか?

個人が設立できる法人(私法人)は、利益を分配する営利法人と、分配しない非営利法人に分かれます。営利法人は株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4種類、非営利法人はNPO法人・一般社団法人・一般財団法人の3種類で、合わせて7種類です。このほか国や自治体などの公法人があります。

Q. 法人の分類一覧は?

法人はまず「公法人(国・地方公共団体・独立行政法人など)」と「私法人」に分かれます。私法人はさらに、利益分配を目的とする営利法人(株式会社・合同会社・合資会社・合名会社)と、構成員への利益分配ができない非営利法人(NPO法人・一般社団法人・一般財団法人)に分類されます。

Q. 一般社団法人は株式会社と何が違うのですか?

最大の違いは利益分配です。株式会社は営利法人で、利益を株主に配当できます。一般社団法人は非営利法人で、構成員(社員)への利益分配ができません(収益事業や給与支払いは可能)。一般社団法人は活動分野の制限がなく2名以上で設立でき、株式会社と同様に定款認証+登記が必要です。

Q. 株式会社と合同会社はどちらがいいですか?

社会的信用や資金調達を重視するなら株式会社、設立費用や機動性を重視するなら合同会社が基本です。将来VCから出資を受けたい場合は、株式を発行できる株式会社が必要です。合同会社で設立し、事業拡大に伴って株式会社へ組織変更することもできます。

Q. 会社設立にかかる費用はいくらですか?

株式会社は約25〜30万円、合同会社は約6〜10万円が目安です。内訳は定款認証手数料(株式会社のみ・資本金により3〜5万円。2024年12月以降は要件を満たす小規模な株式会社は1万5,000円)、登録免許税(株式会社15万円、持分会社6万円)などです。電子定款を利用すれば印紙代4万円が不要になります。

Q. どのくらいの所得で法人化を検討すべきですか?

一つの目安は、年間の事業所得が概ね800万〜1,000万円を超えるあたりです。役員報酬の損金算入や法人税率の優位性で、税負担を含めた総合的なメリットが大きくなりやすいラインです。ただし個別の状況で異なるため、税理士への相談をお勧めします。

9. まとめ

・法人には営利4類型+非営利3類型の計7つの選択肢がある
・営利目的なら実質的に株式会社合同会社の2択
信用・資金調達重視 → 株式会社(設立費用25〜30万円、2〜3週間)
費用・機動性重視 → 合同会社(設立費用6〜10万円、1〜2週間)
・合同会社から株式会社への組織変更も可能
・法人設立後は補助金を活用して設備投資やDXに取り組める
・事業の目的によって最適な形態は異なるため、専門家への相談がお勧め

合同会社・株式会社設立に必要な電子定款についての解説はこちら

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