法人の種類と選び方|株式会社・合同会社・NPO法人など7類型を比較表で解説

2026年10月9日更新/会社法・NPO法・一般社団財団法人法・商業登記規則で確認

法人の種類と選び方 株式会社・合同会社・NPO法人など7類型を比較

個人が作れる法人は、営利の4類型(株式会社・合同会社・合資会社・合名会社)と非営利の3類型(NPO法人・一般社団法人・一般財団法人)の7つです。営利目的なら、選ぶのはほぼ株式会社か合同会社です。7類型の設立費用・人数・認証の有無・責任の範囲を1つの表で比べ、3つの質問で絞り込めるようにしました。

7類型

個人が設立できる法人

6万円〜

合同会社の法定費用(電子定款)

16.6万円〜

株式会社の法定費用(電子定款)

法定費用は登録免許税・定款認証手数料など。出典:登録免許税法 別表第一、公証人手数料令第35条

行政書士 潮海俊吾

執筆・監修:行政書士 潮海 俊吾(京都府行政書士会 登録番号19272132号)

会社設立・補助金サポート実績105社超/2019年開業

プロフィール詳細

この記事の要点

  • 法人は営利4類型と非営利3類型の計7つ。営利目的なら実際の選択肢は株式会社か合同会社。
  • 法定費用の最低額(電子定款)は、合同会社6万円、株式会社約16.6万円、一般社団法人約11万円。
  • 株式会社は出資者と経営者を分けられ、株式で出資を募れる。合同会社は出資者が経営し、定款認証・役員任期・決算公告がない。
  • 代表者の住所を登記事項証明書に一部だけ表示する措置は、現在は株式会社のみ。合同会社などへの拡大が改正案として示されている(2026年12月施行予定)。
  • 2026年2月2日から、土日祝日などの休日を設立日にできる。
  • 非営利法人も収益事業や給与の支払いはできる。できないのは構成員への利益の分配。
動画でわかる 法人の種類と選び方(50秒)。動画で使用している音楽:魔王魂

1. 法人とは

法人は、法律で権利と義務の主体と認められた「人以外の存在」です。個人と同じように、契約を結び、財産を持ち、裁判の当事者になれます。個人事業として行っていたことを、会社の名義で行うための仕組みです。

項目個人事業法人
始め方税務署に開業届を出す定款の作成、(類型により)認証、登記
法定費用0円6万円〜(類型による)
取引の名義個人名法人名
債務への責任無限責任(個人の全財産が対象)有限責任の類型が多い(出資額が上限)
社会保険国民健康保険・国民年金健康保険・厚生年金(役員1人でも加入対象。保険料は会社と折半)
税金所得税・住民税・個人事業税法人税・法人住民税・法人事業税

金融機関から借り入れて代表者が個人保証をした場合は、有限責任の法人でも、代表者は保証人として返済の責任を負います。法人化したほうが税金の面で得かどうかは、所得や家族構成で変わるため、顧問の税理士に試算を依頼してください。

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2. 法人の全体像

法人は、国・地方公共団体・独立行政法人などの公法人と、私法人に分かれます。個人が作るのは私法人で、営利法人と非営利法人に分かれます。

  • 営利法人:構成員(株主など)に利益を分配できる法人。株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4つ。
  • 非営利法人:構成員に利益を分配できない法人。NPO法人・一般社団法人・一般財団法人の3つ。

非営利法人も利益を上げてよい。収益事業を行うことも、従業員に給料を払うこともできます。できないのは、理事や社員などの構成員に利益を分配することです。

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3. 7類型の比較表

項目株式会社合同会社合資会社合名会社NPO法人一般社団法人一般財団法人
分類営利営利営利営利非営利非営利非営利
法定費用の最低額約16.6万円6万円6万円6万円0円約11万円約11万円
最低人数1名1名2名1名社員10人以上、理事3人以上、監事1人以上設立時社員2名以上理事3・評議員3・監事1
責任有限有限有限+無限無限―――
公証人の定款認証必要不要不要不要不要(所轄庁の設立認証が必要)必要必要
出資・財産1円〜1円〜出資は必要(無限責任社員は信用・労務も可)同左不要不要300万円以上の拠出
出資者と経営者分けられる同じ同じ同じ―――
利益の分配可(配当)可可可不可不可不可
成立までの期間書類が揃えば登記申請日に成立(登記完了は法務局の予定日で確認)縦覧2週間+認証判断2か月以内+登記株式会社と同じ

法定費用は電子定款の場合で、株式会社は登録免許税15万円・認証手数料1.5万円(3要件を満たす場合)・謄本等、一般社団・一般財団は認証手数料5万円・登録免許税6万円の合計です。紙の定款では株式会社と持分会社に印紙代4万円が加わります。株式会社の認証手数料は資本金の額等により3万〜5万円です。一般財団法人は別に300万円以上の財産の拠出が必要です。NPO法人の登記は登録免許税がかかりません。根拠:登録免許税法 別表第一、公証人手数料令第35条、特定非営利活動促進法第10条第2項・第12条第2項・第13条第1項、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第153条第2項。

電子定款の仕組みは電子定款とは、資本金の決め方は借入金は資本金にできる?で解説しています。

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4. 営利法人4類型

株式会社

株式を発行して資金を集める、最も多い会社の形です。株主(出資者)と取締役(経営者)を分けられます。2025年に設立された法人157,011社のうち100,558社が株式会社でした(東京商工リサーチ調べ)。代表取締役の住所を登記事項証明書に一部だけ表示する措置は、現在は株式会社だけが使えます。

向いている場合:外部から出資を受ける予定がある、取引先から株式会社を求められている、従業員を増やして組織として大きくする予定がある。手順と書類は株式会社設立の手順と必要書類をご覧ください。

合同会社

2006年施行の会社法で作られた形で、米国のLLCを参考にしています。出資者(社員)が経営し、社員全員が有限責任です。ここでいう「社員」は従業員ではなく、出資者のことです。公証人の定款認証、役員の任期、決算公告がなく、登録免許税の最低額は6万円です。2025年の設立は44,991社で、新設法人の28.6%でした。

注意点は、持分の譲渡に他の社員全員の承諾が要ること(会社法第585条)と、社員が亡くなると原則として退社になること(第607条)です。家族に引き継がせたい場合は、設立時の定款に定めを置きます。詳しくは合同会社の設立をご覧ください。

向いている場合:少人数で始める、設立費用を抑えたい、個人事業やフリーランスを法人にする。

合資会社

有限責任社員と無限責任社員の両方で構成されます。無限責任社員は、会社の債務を個人の財産で返す責任を負います。新しく設立されることはほとんどありません。

合名会社

無限責任社員だけで構成されます。機関は簡単ですが、社員全員が無限責任を負います。

合同会社・合資会社・合名会社をまとめて「持分会社」と呼びます。

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5. 非営利法人3類型

NPO法人(特定非営利活動法人)

保健・福祉、まちづくり、環境保全、国際協力など、法律が定める20分野の活動を行う法人です。所轄庁(都道府県知事または指定都市の長)の設立認証が必要です。

要件内容
社員10人以上(NPO法第12条第1項第4号)
役員理事3人以上・監事1人以上(同法第15条)
役員報酬報酬を受ける役員は役員総数の1/3以下(同法第2条第2項第1号ロ)
期間申請書類の縦覧2週間、その後2か月以内に認証の判断、認証後に設立登記。設立総会の準備を含めると、実務ではおおむね3〜4か月

縦覧期間は令和2年法律第72号(2021年6月9日施行)で1か月から2週間に短縮されました。

一般社団法人

活動分野の制限がない非営利法人です。設立時社員2名以上で作れ、所轄庁の認証は要らず、定款認証と登記で設立します。法定費用は定款認証手数料5万円と登録免許税6万円で約11万円です。定款には印紙税がかからないため、電子定款にしても費用は変わりません。業界団体や資格認定団体などで使われています。

一般財団法人

一般社団法人が人の集まりなら、一般財団法人は財産の集まりです。設立には300万円以上の財産の拠出と、理事3名・評議員3名・監事1名が必要です。純資産額が2期続けて300万円未満になると解散します(一般社団財団法人法第202条第2項)。

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6. 3つの質問で選ぶ

  1. 利益を構成員(自分・出資者)に分配しますか。分配する場合は2へ。分配しない場合は3へ。
  2. 外部からの出資や、取引先から株式会社を求められる予定がありますか。ある場合や、自宅を本店にして代表者の住所を一部だけ表示したい場合は株式会社。少人数・低コストで始めるなら合同会社。合同会社から株式会社への組織変更もできます。
  3. 活動の内容と体制はどれに近いですか。法定の20分野の活動で社員10人以上を集められるならNPO法人。分野を問わず早く作るなら一般社団法人。まとまった財産で運営するなら一般財団法人。

株式会社と合同会社の早見表

項目株式会社合同会社
法定費用の最低額(電子定款)約16.6万円6万円
当事務所に依頼した場合の総額目安約30万円約12万〜15万円
出資者と経営者分けられる同じ
出資の募り方株式の発行(VCからの出資も可)社員の加入(株式は発行できない)
役員の任期あり(非公開会社は最長10年)。重任でも変更登記が必要なし
決算公告義務あり義務なし
持分・株式の譲渡定款の譲渡制限の範囲で可能他の社員全員の承諾が必要
代表者住所の一部非表示設立登記と同時に申出可現在は不可(拡大の改正案あり)

総額目安は、法定費用・当事務所の報酬(6万円・税別から)・提携司法書士の費用の合計です。

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7. 設立に関わる最近の改正

休日を設立日にできる(2026年2月2日から)

会社の設立日は登記を申請した日です。改正商業登記規則第35条の4により、希望する休日の直前の開庁日に、開庁時間内に登記を申請し、その休日を登記の日として指定できるようになりました。例えば2026年2月11日(建国記念の日)を設立日にするなら、2月10日の開庁時間内に受け付けてもらう必要があります。株式会社のほか、持分会社(組織変更を除く)や一般社団法人等にも適用されます。株式会社は定款認証と出資金の払込みをその日までに済ませるため、日程を逆算して組んでください。

根拠:商業登記規則第35条の4(2026年2月2日施行)/令和8年1月21日付け法務省民商第9号 民事局長通達

代表取締役の住所を一部だけ表示する措置

2024年10月1日から、株式会社の代表取締役などは、申出により登記事項証明書に住所の一部(市区町村まで)だけを表示させることができます。申出は、設立・本店移転・代表者の就任・住所変更など、住所が登記される登記と同時に行います。登記簿には住所が記録されているため、融資や不動産取引で住所を別の書類で示すよう求められる場合があります。

法務省は、この措置を合同会社を含むすべての会社の代表者に広げる「商業登記規則等の一部を改正する省令案」を示しており、施行は2026年12月の予定です。合同会社で自宅を本店にする場合は、施行の時期を確認してから設立日を決めてください。

根拠:商業登記規則第31条の3/e-Govパブリック・コメント「商業登記規則等の一部を改正する省令案の概要」

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8. 設立後に使える補助金

補助金上限設立直後の会社の注意
小規模事業者持続化補助金 創業型200万円(インボイス特例で+50万円)開業・設立が申請締切日から1年以内で、市区町村の特定創業支援等事業の証明書が必要。設立前から受講を始める
小規模事業者持続化補助金 一般型(通常枠)50万円(特例併用で最大250万円)第20回は受付11月5日〜12月15日17:00、様式4の発行締切12月4日
デジタル化・AI導入補助金通常枠450万円(4プロセス以上)6次締切は10月30日17:00。決算書は直近1期分。スマートレジは事前着手制度あり
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金最大9,000万円常勤従業員0名は全枠で対象外、新事業進出枠は創業1年未満が対象外

特定創業支援等事業の証明書は、設立登記の登録免許税を半額にする場面でも使えます。法人を作ってすぐに大型の補助金を使うことは制度上難しいため、設立の段階から、使う制度と時期を逆算してください。

出典:ミラサポplus「令和8年度 小規模事業者持続化補助金のポイント」/デジタル化・AI導入補助金 事務局/新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領。受付中の制度は2026年度の補助金総合ガイドにまとめています。

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9. よくある質問

法人にはどんな種類がありますか?

個人が設立できる法人(私法人)は、営利法人の株式会社・合同会社・合資会社・合名会社と、非営利法人のNPO法人・一般社団法人・一般財団法人の7種類です。このほか、国や地方公共団体などの公法人があります。

株式会社と合同会社はどちらがよいですか?

外部から出資を受ける予定がある、取引先から株式会社を求められている場合は株式会社です。少人数で始め、設立費用を抑えたい場合は合同会社です。合同会社で設立し、あとから株式会社に組織変更することもできます。

会社設立にかかる費用はいくらですか?

電子定款の場合、法定費用は合同会社が6万円から、株式会社が約16.6万円からです。株式会社の定款認証手数料は資本金の額等により1.5万〜5万円です。当事務所に依頼した場合の総額目安は、株式会社で約30万円、合同会社で約12万〜15万円です。

一般社団法人と株式会社は何が違いますか?

一番の違いは利益の分配です。株式会社は株主に配当できますが、一般社団法人は社員に利益を分配できません。収益事業や給与の支払いはできます。一般社団法人は2名以上で設立でき、法定費用は定款認証5万円と登録免許税6万円で約11万円です。

NPO法人の設立にはどのくらいかかりますか?

申請書類の縦覧が2週間、その後2か月以内に所轄庁が認証を判断し、認証後に設立登記をします。設立総会の準備を含めると、実務ではおおむね3〜4か月です。社員10人以上、理事3人以上、監事1人以上が必要です。

代表者の住所を登記事項証明書に載せないことはできますか?

株式会社なら、設立登記と同時に申し出ることで、住所を市区町村までの表示にできます。合同会社などは現在対象外ですが、すべての会社に広げる改正案が示されており、施行は2026年12月の予定です。

土日や祝日を設立日にできますか?

2026年2月2日からできます。希望する休日の直前の開庁日に登記を申請し、休日を登記の日として指定します(商業登記規則第35条の4)。株式会社・持分会社・一般社団法人等に適用されます。

法人化したほうが税金は安くなりますか?

所得の額、役員報酬の決め方、家族構成などで結果が変わります。法人化の前に、顧問の税理士に個人と法人の税額の試算を依頼してください。当事務所は設立の手続きを担当し、税務は連携先の税理士をご紹介します。

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どの法人にするか決める段階からご相談ください

事業の内容、出資を受ける予定、家族への承継、自宅を本店にするかを伺い、比較表をもとに判断します。設立後に使える補助金や許認可もあわせて確認します。京都市中京区の事務所で、LINE・電話・オンライン(Zoom)でも全国から相談でき、初回40分は無料です。

会社設立サポートの内容と料金

主な出典(最終確認 2026年10月9日):会社法・商業登記規則・登録免許税法・公証人手数料令・特定非営利活動促進法・一般社団法人及び一般財団法人に関する法律/法務省民商第9号通達(令和8年1月21日)/e-Govパブリック・コメント「商業登記規則等の一部を改正する省令案の概要」/東京商工リサーチ「2025年『合同会社』の新設法人調査」(2026年6月10日)/内閣府NPOホームページ/各補助金の公募要領・事務局の公表資料。

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