法人の種類と選び方|株式会社・合同会社・NPO法人など7類型を比較表で解説

法人の種類と選び方

株式会社・合同会社・NPO法人など7類型の違いを
設立費用・責任形態・設立人数まで一覧比較で解説します。

7類型

法人の選択肢

約6万円〜

設立費用(合同会社)

1週間〜

設立期間

行政書士 潮海俊吾
執筆・監修:行政書士 潮海 俊吾
京都府行政書士会(登録番号19272132号)
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【法改正】会社設立に関わる3つの制度改正(根拠条文つき)

これから法人設立を検討する方が押さえるべき改正点を、根拠条文・出典まで明示して整理します。いずれも施行済みの制度です。

① 2026年2月2日から、土日祝日・年末年始も「設立日」にできる

会社の設立日は法務局が登記申請を受理した日になるため、従来は法務局が閉庁している土日祝日・年末年始を設立日にできませんでした。2026年2月2日施行の改正商業登記規則により、指定したい休日の直前の開庁日(平日)の開庁時間内に登記申請を受け付けてもらい、その日を「指定登記日」として求めることで、休日を設立日にできるようになりました。一粒万倍日や天赦日などの縁起のよい日、創業者の記念日、1月1日などを設立日に選べます。株式会社だけでなく持分会社や一般社団法人等にも適用されます。

実務上の注意は「事前に早めに出しておけばよい」わけではない点です。例えば2026年2月11日(建国記念の日)を設立日にするなら、直前の平日である2月10日の開庁時間内(午前8時30分〜午後5時15分)に受付がされる必要があります。連休明けを設立日にする場合は連休前の最終開庁日が申請日になるため、公証人の定款認証や出資金の払込みを含めた逆算スケジュールが必須です。

根拠:商業登記規則第35条の4(商業登記規則等の一部を改正する省令。2026年2月2日施行)/「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」(令和8年1月21日付け法務省民商第9号 法務省民事局長通達)

② 2026年4月1日以後開始事業年度から「防衛特別法人税」が課税

法人税に上乗せされる付加税が新設されました。計算式は(基準法人税額-年500万円)× 4%年500万円の基礎控除があるため、法人税額が500万円以下の多くの中小企業には実質的な負担が生じません(中小法人の軽減税率適用時で、課税所得およそ2,400万円以下が目安)。ただし税額がゼロでも申告書の提出は必要です。3月決算法人なら2027年3月期、12月決算法人なら2027年12月期が初年度になります。

見落とされやすいのが判定の基準です。課税ベースは税額控除を適用する「前」の基準法人税額であるため、賃上げ促進税制や中小企業投資促進税制で納付法人税をゼロ近くまで圧縮していても、控除前の金額が500万円を超えていれば課税されます。また中間申告は制度2年目(2027年4月1日以後開始事業年度)からで、初年度は確定申告のみです。

根拠:令和7年度税制改正(防衛財源確保法の改正により創設)。適用は令和8年4月1日以後に開始する事業年度から。国税庁パンフレット・財務省「令和7年度税制改正」参照

③ 代表取締役の住所を登記事項証明書で一部非表示にできる(株式会社のみ)

2024年10月1日施行の改正商業登記規則により、代表取締役等の住所を、登記事項証明書上は行政区画(○○市、東京都○○区など)までの表示にとどめる「代表取締役等住所非表示措置」を申し出できるようになりました。自宅を本店にして起業する方のプライバシー対策として有効です。

注意点は3つです。第一に対象は株式会社のみで、合同会社などの持分会社は対象外です(特例有限会社も含みません)。第二に、この申出は設立登記・本店移転・代表者の就任・住所変更の登記と同時にしか行えません。設立時に出し忘れると、次の機会まで待つことになります。第三に、登記簿そのものには住所が記録されており、非表示になるのは第三者が取得する証明書等の表示だけです。金融機関の融資審査や不動産取引で住所の証明を別途求められる場面があります。

根拠:商業登記規則第31条の3(2024年4月16日公布・同年10月1日施行の改正)/法務省「代表取締役等住所非表示措置について」

【結論】法人には、営利4類型(株式会社・合同会社・合資会社・合名会社)と非営利3類型(NPO法人・一般社団法人・一般財団法人)の計7つの選択肢があります。営利目的なら実質は株式会社か合同会社の2択で、信用・資金調達・代表者住所の非表示を重視するなら株式会社(設立費用 約25〜30万円)、費用・機動性を重視するなら合同会社(約6〜10万円)が基本です。合同会社から株式会社への組織変更も可能です。

30秒でわかる:法人の種類と選び方

・法人は営利4類型(株式会社・合同会社・合資会社・合名会社)+非営利3類型(NPO法人・一般社団法人・一般財団法人)の計7つです。
・営利目的なら実質は株式会社か合同会社の2択です。
・株式会社=社会的信用・資金調達に強く、出資者と経営者を分離できます。設立費用は約25〜30万円・期間2〜3週間。
・合同会社=出資者=経営者でシンプル・低コスト。設立費用は約6〜10万円・期間1〜2週間、定款認証不要・役員任期や決算公告もありません。
・将来VCから出資を受けたいなら株式会社一択(合同会社は株式を発行できません)。合同会社→株式会社の組織変更も可能です。
・代表者の住所を登記事項証明書で一部非表示にできるのは株式会社だけ(商業登記規則31条の3・2024年10月1日施行)。設立登記と同時に申し出る必要があります。
・2026年2月2日から、直前の開庁日に申請すれば土日祝日・年末年始も設立日に選べます(商業登記規則35条の4)。
・2026年4月1日以後開始事業年度から防衛特別法人税が始まりますが、500万円の基礎控除により多くの中小企業は実質負担なし(申告は必要)。
・法人化を検討する一つの目安は、年間の事業所得が概ね800万〜1,000万円を超えるあたり(個別は税理士に相談)。
・非営利法人も収益事業や給与支払いは可能で、禁止されているのは構成員への利益分配だけです。

これから法人設立を考えている個人事業主やサラリーマンの方向けに、法人の種類と選び方を解説します。「株式会社と合同会社、どちらが自分に合っているか」「非営利法人はどういう場面で使うのか」といった疑問に、会社設立を実際に代行している行政書士の実務目線でお答えします。税務の損得だけでなく、定款・公証人認証の要否・設立人数・許認可といった「手続きで実際につまずく点」まで踏み込み、制度の根拠条文まで明示しているのが、この記事の特徴です。

動画でわかる 法人の種類と選び方(要約)

音楽:魔王魂

本記事の内容
法人とは?(個人事業主との違い)

法人の全体像(公法人・私法人・営利・非営利)

7類型の全比較テーブル

営利法人4類型の解説

非営利法人3類型の解説

選び方フロー(3ステップ簡易診断)

法人設立後に使える補助金

よくある質問

まとめ

1. 法人とは?

法人とは、法律上の権利・義務の主体として認められた「人以外の存在」です。自然人(個人)と同様に、契約を結んだり、財産を持ったり、訴訟の当事者になったりすることができます。

要するに

「会社」という架空の箱に、人間と同じような権利と義務を与えるのが法人設立です。個人事業主としてやっていたことを、「会社として」やるための仕組みです。

個人事業主との違い

比較項目個人事業主法人
設立手続き税務署に開業届を出すだけ定款作成→認証→登記(数週間〜数ヶ月)
設立費用0円約6万〜30万円(形態による)
社会的信用個人名での取引法人名での取引(信用度が高い)
責任範囲無限責任(全財産が対象)有限責任が多い(出資額が上限)
税金所得税(累進課税、最大45%)法人税(原則23.2%、中小法人は年800万円以下15%の特例あり)
社会保険国民健康保険・国民年金健康保険・厚生年金(半額会社負担)
代表者住所の公開株式会社は登記事項証明書で一部非表示にできる(合同会社は不可)

一般的に、年間の事業所得が800万〜1,000万円を超えるあたりから、法人化した方が税負担を含めた総合的なメリットが大きくなると言われています。ただし個別の状況により異なるため、税理士への相談をお勧めします。

軽減税率15%は恒久措置ではありません:中小法人の年800万円以下の所得に適用される15%は租税特別措置法による時限措置で、現在の適用期限は2027年(令和9年)3月31日までに開始する事業年度です。あわせて令和7年度税制改正により、所得金額が年10億円を超える事業年度は15%→17%に引き上げられ、グループ通算制度の適用法人は特例の対象外(本則19%)となりました(2025年4月1日以後開始事業年度から適用)。

根拠:租税特別措置法第42条の3の2(中小企業者等の法人税率の特例)、令和7年度税制改正/中小企業庁「法人税率の軽減」

※2026年4月1日以後に開始する事業年度からは、法人税に加えて防衛特別法人税(基準法人税額-500万円)×4%が課されます。基礎控除により多くの中小企業では実質負担が生じませんが、税額ゼロでも申告書の提出は必要です。

2. 法人の全体像

法人は大きく「公法人」(国・地方公共団体・独立行政法人など)と「私法人」に分かれます。個人が設立するのは私法人で、さらに「営利法人」「非営利法人」に分かれます。

営利法人

構成員(株主など)への利益分配を目的とする法人。株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4つ。

非営利法人

利益を上げること自体は問題ないが、構成員への利益分配はできない法人。NPO法人・一般社団法人・一般財団法人の3つ。活動目的のための費用として使う必要がある。

よくある誤解:「非営利法人=利益を上げてはいけない」は誤りです。収益事業を行うことも、従業員に給料を支払うことも可能です。禁止されているのは「構成員(理事・社員等)への利益分配」です。

3. 7類型の全比較テーブル

法人設立を検討する際に最も重要な項目を一覧で比較します。

項目 株式会社 合同会社 合資会社 合名会社 NPO法人 一般社団法人 一般財団法人
分類 営利営利営利営利 非営利非営利非営利
設立費用目安 約25〜30万円 約6〜10万円 約6〜10万円 約6〜10万円 数万円程度 約11万円 約11万円+300万円
設立期間 2〜3週間1〜2週間1〜2週間1〜2週間 約3〜4ヶ月2〜3週間2〜3週間
最低人数 1名1名2名1名 社員10人以上+理事3人以上・監事1人以上2名以上7名(理事3+評議員3+監事1)
責任形態 有限責任有限責任有限+無限無限責任
公証人の定款認証 必要不要不要不要 不要(別途、所轄庁の認証が必要)必要必要
資本金 1円〜1円〜不要(現物可)不要(現物可) 不要不要300万円以上
出資者と経営者 分離可能同一同一同一
利益分配 可(配当) 不可不可不可
代表者住所の非表示 不可不可不可 不可不可不可
社会的信用 高い中程度低い低い 高い中〜高中〜高

※設立費用は定款認証手数料、登録免許税(株式会社15万円、持分会社6万円、一般社団・財団6万円)、その他実費の合計目安です。電子定款を利用すれば印紙代4万円が不要になります。

根拠(定款認証手数料):公証人手数料令第35条。株式会社は資本金の額等が100万円未満で3万円、100万円以上300万円未満で4万円、それ以外は5万円。一般社団法人・一般財団法人は一律5万円。2024年12月1日以降、資本金100万円未満の株式会社のうち「発起人全員が自然人で3人以下」「発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の定款記載」「取締役会を置く旨の定款記載がない」の3要件をすべて満たす場合は1万5,000円(同条1号ただし書。令和6年政令第353号による改正・日本公証人連合会「会社の定款手数料の改定」)。

根拠(NPO法人):設立認証の申請書類は受理日から2週間の縦覧に供され(NPO法第10条第2項)、所轄庁は縦覧期間経過後2ヶ月以内に認証・不認証を決定し(同法第12条第2項)、認証後の設立登記により成立します(同法第13条第1項)。縦覧期間は令和2年法律第72号(2021年6月9日施行)で1ヶ月から2週間に短縮されました。設立総会の準備を含めた実務上の所要期間はおおむね3〜4ヶ月です。

※NPO法人の「認証」は公証人の定款認証ではなく、都道府県知事または指定都市の長による設立認証を指します。混同しやすい点なので、この表では区別して記載しています。

※会社設立に必須の電子定款の詳しい解説はこちら/資本金の決め方は借入金は資本金にできる?の記事もご覧ください。

4. 営利法人4類型の解説

① 株式会社

株式を発行して資金を集める、最も一般的な会社形態です。出資者(株主)と経営者(取締役)が分離できる「所有と経営の分離」が最大の特徴。取引先から「法人化が条件」と言われた場合、まず検討すべき選択肢です。

自宅を本店として起業する方にとっては、代表取締役等住所非表示措置を使えるのが株式会社だけという点も判断材料になります。設立登記と同時に申し出る必要があるため、形態の選択段階で意識しておく実益があります。

向いている人:将来的な事業拡大を目指す方、外部からの資金調達を視野に入れている方、対外的な信用を重視する方、従業員を雇用して組織として成長させたい方、自宅を本店にするため代表者住所の公開を避けたい方

② 合同会社

2006年の会社法で新設された形態で、アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルにしています。出資者=経営者であり、出資した社員全員に会社の決定権があります。ここでいう「社員」は従業員ではなく、出資者兼役員のことです。

設立費用が株式会社の約1/3で済み、株主総会や役員任期の更新も不要。Amazon Japan、Apple Japan、Google合同会社など、大手外資系企業にも多く採用されている形態です。ただし代表社員の住所は登記事項証明書に番地まで表示され、住所非表示措置は使えません。自宅を本店にする場合は、この点が株式会社との実務上の差になります。

向いている人:少人数で機動的に経営したい方、設立費用を抑えたい方、家族経営やフリーランスの法人化を考えている方

③ 合資会社

有限責任社員(出資額が損害の上限)と無限責任社員(私財を投入してでも返済義務あり)の両方で構成される会社形態です。設立費用は低いものの、無限責任社員のリスクが大きく、現在では新規設立は稀です。

④ 合名会社

無限責任社員のみで構成される会社形態です。取締役や監査役が不要で内部機関がシンプルですが、社員全員が無限責任を負うため、リスクが最も大きい形態です。

持分会社について:合同会社・合資会社・合名会社の3つをまとめて「持分会社」と呼びます。いずれも社員=出資者が直接経営に携わる点が共通していますが、実務上は合同会社が圧倒的に選ばれており、合資会社・合名会社の新規設立はほとんどありません。

5. 非営利法人3類型の解説

⑤ NPO法人(特定非営利活動法人)

保健・福祉・まちづくり・環境保全・国際協力など、法律で定められた20分野の特定非営利活動を行うための法人です。社会的な知名度と信頼性が高い一方、設立ハードルも高くなっています。

設立要件内容
構成員社員10人以上(NPO法12条1項4号)
役員理事3人以上・監事1人以上(NPO法15条)
役員報酬報酬を受ける役員は総数の1/3以下(NPO法2条2項1号ロ)
認証都道府県知事または指定都市の長の設立認証が必要(公証人の定款認証は不要)
標準的な期間縦覧2週間+審査2ヶ月以内+設立登記。実務上はおおむね3〜4ヶ月

根拠:特定非営利活動促進法第10条第2項(縦覧2週間)・第12条第2項(縦覧期間経過後2ヶ月以内の認証決定)・第13条第1項(登記による成立)。縦覧期間は令和2年法律第72号(2021年6月9日施行)で1ヶ月から2週間に短縮/内閣府NPOホームページ

⑥ 一般社団法人

NPO法人と同じ非営利法人ですが、活動分野の制限がありません。特別な認証も不要で、株式会社と同様に定款認証+登記で設立が完了します。2名以上で設立でき、期間も2〜3週間と、NPO法人に比べてはるかに手軽です。業界団体、同業者組合、資格認定機関などに多く使われています。定款認証手数料は5万円、登録免許税は6万円で、法定費用の合計は約11万円です。

⑦ 一般財団法人

一般社団法人が「人の集まり」なら、一般財団法人は「財産の集まり」です。寄付された財産をもとに活動する法人で、設立には300万円以上の財産理事3名・評議員3名・監事1名の計7名が必要です。奨学金事業や文化支援などに利用されています。純資産額が2期連続で300万円未満になると解散事由に該当する点にも注意が必要です。

根拠:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第153条第2項(設立時拠出財産300万円以上)、第202条第2項(純資産額300万円未満が2期連続で解散)

6. 選び方フロー(3ステップ簡易診断)

「結局どれを選べばいいのか」を、3つの質問で絞り込めます。上から順に答えてください。

Q1. 利益を構成員(自分・出資者)に分配しますか?

分配する(営利目的)→ Q2へ。 分配しない(社会的活動・会費運営)→ Q3へ。

Q2.〔営利の場合〕将来の出資受け入れ・対外信用を重視しますか?

重視する/取引先や採用で信用が要る/自宅を本店にするので代表者住所を非表示にしたい → 株式会社(約25〜30万円)。 少人数・低コスト・スピード重視 → 合同会社(約6〜10万円)。合同会社で始めて後から株式会社へ組織変更も可能です。

Q3.〔非営利の場合〕活動内容と体制はどれに近いですか?

法定20分野の社会貢献活動で知名度を重視 → NPO法人(社員10人以上・認証で約3〜4ヶ月)。 分野自由で手早く設立 → 一般社団法人(2名以上・2〜3週間)。 まとまった財産で運営 → 一般財団法人(300万円+7名)。

営利なら「株式会社 vs 合同会社」の早見表

比較項目株式会社合同会社
社会的信用高い(取引先・採用に有利)近年増加中だが説明が必要な場面あり
設立費用約25〜30万円約6〜10万円
出資者と経営者分離可能(株主≠社長)同一(出資者=経営者)
意思決定株主総会・取締役会が必要出資者全員で柔軟に決定
資金調達株式発行・VC出資など幅広い選択肢は限定的
役員任期最長10年(更新手続き+登記費用あり)任期なし
決算公告義務あり義務なし
代表者住所の非表示申出可(設立登記と同時)不可
向いている人拡大志向・信用重視・外部取引多い少人数・低コスト・機動性重視

行政書士からの実務アドバイス

・取引先から「法人化が条件」と言われた → 株式会社が無難
・フリーランスの法人化、夫婦での事業 → 合同会社で十分
・将来VCから出資を受けたい → 株式会社一択(合同会社は株式が発行できない)
・とにかく費用を抑えて早く設立したい → 合同会社(最短1週間、費用約6万円〜)
・自宅を本店にする → 株式会社+住所非表示措置を検討。申出は設立登記と同時にしかできないため、設立前に方針を決めておく
・記念日や縁起のよい日を設立日にしたい → 2026年2月2日以降は土日祝日も選択可能。ただし直前の開庁日に受付を済ませる必要があるため、定款認証・払込みから逆算したスケジュール管理が要ります
・合同会社で設立後、事業拡大に伴い株式会社への組織変更も可能です

法人化で得られる主な税務メリット

株式会社・合同会社いずれの場合も、個人事業主にはない以下の税務メリットを享受できます。

役員報酬の損金算入

自身への給与(役員報酬)を会社の経費として計上可能。さらに給与所得控除も適用されるため、二重の節税効果があります。

社宅制度の活用

自宅を社宅にすることで、家賃の一部を経費計上可能。個人事業主では「事業按分」しかできない部分を、法人なら制度として正式に活用できます。

法人税率の優位性

個人の所得税は最大45%(+住民税10%)の累進課税ですが、法人税は原則23.2%(中小法人の年800万円以下の部分は15%)。売上規模が大きくなるほど法人化のメリットが拡大します。ただし15%は2027年3月31日までに開始する事業年度までの時限措置で、所得10億円超の事業年度は17%です。また2026年4月1日以後開始事業年度からは防衛特別法人税が加わり、法人税額が年500万円を超える部分について実効税率が0.8〜1.0%程度上昇します。

どちらを選ぶか迷ったらご相談ください

「株式会社と合同会社で判断がつかない」「縁起のよい日を設立日にしたい」「自宅が本店なので住所を出したくない」「設立後に使える補助金も知りたい」
京都市中京区の行政書士が対応します。LINE・お電話・オンライン(Zoom)でご相談いただけます(全国対応・初回40分無料)。

7. 法人設立後に使える補助金

法人を設立した後、事業拡大や設備投資のために活用できる補助金が多数あります。特に中小企業・小規模事業者は、以下の制度が利用しやすいです。銀行や会計ソフトの解説にはない、補助金まで見据えた設立サポートが、当事務所(補助金実績105社超)の強みです。

小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>最大250万円

販路開拓やHP制作、広告宣伝費等を支援。補助上限は原則50万円で、インボイス特例+50万円・賃金引上げ特例+150万円(両方で+200万円)。補助率2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)。第20回の申請受付は2026年11月5日〜12月15日17:00、様式4の発行受付締切は12月4日です。

▶ 2026年度 詳細記事

小規模事業者持続化補助金<創業型>創業期向け

創業間もない小規模事業者を重点支援する類型で、補助上限200万円(インボイス特例で+50万円)・補助率2/3。産業競争力強化法に基づく市区町村等の「特定創業支援等事業」による支援を受けていることが要件になるため、法人設立の前段階から逆算して受講しておく必要があります。設立直後にまとまった販路開拓費を使いたい方は、一般型よりこちらが本命です。
※創業からの経過年数要件や次回公募の日程は回次ごとに変わります。申請前に最新の公募要領で必ずご確認ください。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金最大9,000万円

ものづくり補助金と新事業進出補助金が2026年度に統合された制度です。新製品・新サービスの開発、新市場への進出、輸出体制の強化を支援します。第1回の応募期間は2026年9月30日〜10月30日(金)18:00厳守。

▶ 第1回 詳細記事

デジタル化・AI導入補助金最大450万円

会計ソフト、顧客管理、予約システム等のITツール導入費用を支援。法人化と同時にDXを進められます。締切は年に複数回設定され、4次締切は2026年8月25日17:00です。

▶ 2026年度 詳細記事

設立時期と補助金の関係にご注意ください:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回公募要領)では、常勤従業員が0名の事業者は全枠で対象外とされ、さらに新事業進出枠は設立・創業から1年未満の事業者が対象外とされています。「法人を作ってすぐ大型補助金」は制度上できないため、設立段階から使える制度と時期を逆算しておくことをお勧めします。

根拠:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募要領(中小企業庁・中小機構、2026年6月29日公開)/小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>第20回公募要領(2026年5月27日公開)

2026年度の補助金・助成金ガイドはこちら

8. よくある質問

Q. 法人にはどんな種類がありますか?

個人が設立できる法人(私法人)は、利益を分配する営利法人と、分配しない非営利法人に分かれます。営利法人は株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4種類、非営利法人はNPO法人・一般社団法人・一般財団法人の3種類で、合わせて7種類です。このほか国や自治体などの公法人があります。

Q. 法人の分類一覧は?

法人はまず「公法人(国・地方公共団体・独立行政法人など)」と「私法人」に分かれます。私法人はさらに、利益分配を目的とする営利法人(株式会社・合同会社・合資会社・合名会社)と、構成員への利益分配ができない非営利法人(NPO法人・一般社団法人・一般財団法人)に分類されます。

Q. 一般社団法人は株式会社と何が違うのですか?

最大の違いは利益分配です。株式会社は営利法人で、利益を株主に配当できます。一般社団法人は非営利法人で、構成員(社員)への利益分配ができません(収益事業や給与支払いは可能)。一般社団法人は活動分野の制限がなく2名以上で設立でき、株式会社と同様に定款認証+登記が必要です。定款認証手数料は5万円、登録免許税は6万円です。

Q. 株式会社と合同会社はどちらがいいですか?

社会的信用や資金調達を重視するなら株式会社、設立費用や機動性を重視するなら合同会社が基本です。将来VCから出資を受けたい場合は、株式を発行できる株式会社が必要です。自宅を本店にする場合、代表者住所を登記事項証明書で一部非表示にできるのは株式会社だけという違いもあります。合同会社で設立し、事業拡大に伴って株式会社へ組織変更することもできます。

Q. 会社設立にかかる費用はいくらですか?

株式会社は約25〜30万円、合同会社は約6〜10万円が目安です。内訳は定款認証手数料(株式会社のみ・資本金の額等により3〜5万円)、登録免許税(株式会社15万円、持分会社6万円)などです。電子定款を利用すれば印紙代4万円が不要になります。なお2024年12月1日以降、資本金100万円未満・発起人が自然人3人以下・発起人が設立時発行株式の全部を引受・取締役会を置かないの3要件をすべて満たす株式会社は、定款認証手数料が1万5,000円になります(公証人手数料令35条1号ただし書)。

Q. 代表取締役の住所を登記簿で非公開にできますか?

株式会社であれば、代表取締役等住所非表示措置を申し出ることで、登記事項証明書上の住所を行政区画(○○市、東京都○○区など)までの表示にとどめられます(商業登記規則31条の3・2024年10月1日施行)。ただし申出は設立登記・本店移転・代表者の就任・住所変更の登記と同時にしか行えず、合同会社などの持分会社は対象外です。登記簿自体には住所が記録されているため、金融機関の審査などで別途住所の証明を求められる場合があります。

Q. 土日や祝日を会社の設立日にできますか?

できます。2026年2月2日施行の改正商業登記規則(35条の4)により、指定したい休日の直前の開庁日(平日)の開庁時間内に設立登記の申請を受け付けてもらい、その日を指定登記日として求めることで、土日祝日や年末年始を設立日にできるようになりました。従来は法務局が登記申請を受理した日が設立日になるため、閉庁日を設立日にはできませんでした。一粒万倍日や天赦日、記念日、1月1日などを設立日に選べます。株式会社だけでなく持分会社や一般社団法人等にも適用されます。

Q. 防衛特別法人税は自社にも関係しますか?

2026年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税に上乗せされる付加税として課税されます。計算式は(基準法人税額-年500万円)×4%で、年500万円の基礎控除があるため、法人税額が500万円以下の多くの中小企業には実質的な負担が生じません(中小法人の軽減税率適用時で課税所得およそ2,400万円以下が目安)。ただし税額がゼロでも申告書の提出は必要です。また判定は税額控除を適用する前の基準法人税額で行うため、賃上げ促進税制等で納付額を圧縮していても課税されることがあります。具体的な影響は顧問税理士にご確認ください。

Q. 中小企業の法人税15%はいつまで使えますか?

中小法人の年800万円以下の所得に適用される15%は租税特別措置法による時限措置で、現在の適用期限は2027年(令和9年)3月31日までに開始する事業年度です。令和7年度税制改正により、所得金額が年10億円を超える事業年度は17%に引き上げられ、グループ通算制度の適用法人は特例の対象外(本則19%)となりました(2025年4月1日以後開始事業年度から適用)。

Q. どのくらいの所得で法人化を検討すべきですか?

一つの目安は、年間の事業所得が概ね800万〜1,000万円を超えるあたりです。役員報酬の損金算入や法人税率の優位性で、税負担を含めた総合的なメリットが大きくなりやすいラインです。ただし個別の状況で異なるため、税理士への相談をお勧めします。

9. まとめ

・法人には営利4類型+非営利3類型の計7つの選択肢がある
・営利目的なら実質的に株式会社合同会社の2択
信用・資金調達重視 → 株式会社(設立費用25〜30万円、2〜3週間)
費用・機動性重視 → 合同会社(設立費用6〜10万円、1〜2週間)
代表者住所を非表示にできるのは株式会社だけ(商業登記規則31条の3)。申出は設立登記と同時
・合同会社から株式会社への組織変更も可能
2026年2月2日から土日祝日も設立日に選べる(商業登記規則35条の4。直前の開庁日に申請)
2026年4月1日以後開始事業年度から防衛特別法人税(多くの中小企業は実質負担なしだが申告は必要)
中小法人の15%軽減税率は2027年3月31日までに開始する事業年度までの時限措置
・法人設立後は補助金を活用して設備投資やDXに取り組める(創業直後は持続化補助金<創業型>が本命)
・事業の目的によって最適な形態は異なるため、専門家への相談がお勧め

合同会社・株式会社設立に必要な電子定款についての解説はこちら

最終確認日:2026年8月15日。本記事は会社法・商業登記規則・公証人手数料令・特定非営利活動促進法・一般社団財団法人法および各補助金の公募要領等に基づき作成しています。税務の詳細は個別事情により異なるため、税理士へのご相談をお勧めします。

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