2026年度「デジタル化・AI導入補助金」徹底解説:中小企業の生産性向上を強力に支援

行政書士 潮海俊吾

執筆・監修:行政書士 潮海 俊吾(シオミ シュンゴ)

京都府行政書士会(登録番号19272132号)

  • 補助金サポート実績 105社超 / 採択率73%
  • 開業2019年|補助金・相続セミナー講師・相談会登壇

2026年度「デジタル化・AI導入補助金」徹底解説:中小企業の生産性向上を強力に支援

1. はじめに:IT導入補助金から「デジタル化・AI導入補助金」へ

1.1 補助金名称の変更

中小企業や小規模事業者の労働生産性向上を目的とした国の支援制度が、2026年度(令和8年度)より、 従来の「IT導入補助金」から「デジタル化・AI導入補助金」へと名称を変更し、新たに実施される予定です。

1.2 制度変更の背景と目的

この制度変更の背景には、日本経済が直面する喫緊の課題への対応があります。

  • 日本経済が直面する課題への対応: 深刻化する人手不足と、それに伴う労働生産性向上の必要性は、中小企業にとって避けて通れない課題となっています。 従来のデジタル化だけでは業務改善が頭打ちになっている現状を打破するため、より革新的なアプローチが求められています。
  • AI導入への重点的な支援強化: AI、特に生成AIをはじめとするAIツールが、業務効率化や省力化に大きく貢献する可能性が注目されています。 国は、このAI活用を中小企業の生産性向上における突破口と位置づけ、その導入を重点的に支援する方針を明確にしました。 補助金名称に「AI」が明記されたことは、この国の強い意思の表れです。
  • 中小企業・小規模事業者の労働生産性向上: 本補助金は、AIやITツールの導入を通じて、中小企業・小規模事業者のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を加速させ、 業務プロセスの抜本的な改善を目指します。さらに、サイバーセキュリティ対策の強化や、 インボイス制度への円滑な対応も支援の重要な柱となっています。

2. 「デジタル化・AI導入補助金」の概要

2.1 補助金の目的

「デジタル化・AI導入補助金」は、中小企業・小規模事業者が、業務効率化、DXの推進、AI導入による生産性向上、 そして競争力強化を実現するための費用の一部を補助することを目的としています。

2.2 主管省庁

本補助金は、経済産業省および中小企業庁が主管となり実施されます。

2.3 対象事業者

日本国内に事業拠点を有する中小企業・小規模事業者が主な対象となります。 ただし、インボイス枠の電子取引類型においては、大企業も対象となる場合があります。

2.4 補助対象経費

幅広いデジタル化・AI導入に関連する費用が対象となります。

ITツール:

  • 会計ソフト
  • 受発注・在庫管理システム
  • クラウドサービス(最大2年分の利用料も対象)

AIツール:

  • AIチャットボット
  • AI-OCR
  • 生成AIツール(ChatGPT, Microsoft Copilot, Notion AIなど、業務利用を前提としたもの)

AI・生成AI・自動化・データ連携など、AIやデジタル技術を活用した業務の自動化・省人化に特に重点が置かれます。

ハードウェア(特定の申請枠で対象):

  • パソコン、ノートパソコン、タブレット
  • POSレジ、券売機

導入関連費用:

  • 保守運用費
  • 導入後の定着を助ける活用支援費用

2.5 補助額と補助率

  • 補助上限額:1者あたり最大450万円の補助が受けられます。
  • 原則補助率:原則として、補助率は1/2以内です。
  • 補助率の引き上げ条件
    • 最低賃金の引き上げに取り組む事業者:補助率が2/3に引き上げられる場合があります。
    • 小規模事業者で賃上げ等の要件を満たす場合:最大4/5まで引き上げられます。
  • ソフトウェア導入費用の特例: ソフトウェア導入費用のうち、50万円以下の部分に対しては、 小規模事業者で4/5以内、その他の事業者で3/4以内と、高い補助率が適用されます。

3. 5つの主要な申請枠

「デジタル化・AI導入補助金」では、企業の多様なニーズに対応するため、以下の5つの申請枠が設けられる見込みです。

3.1 通常枠

業務効率化やDX推進に資する汎用的なITツールの導入を支援します。

3.2 インボイス枠(インボイス対応類型)

インボイス制度への対応に特化した支援枠です。 会計・受発注・決済ソフトの導入に加え、パソコン・タブレット・レジ・券売機などのハードウェア導入費用も対象となります。

3.3 インボイス枠(電子取引類型)

発注者が費用を負担し、受注者である中小企業等が無償で利用できる電子取引システムの導入も支援対象です。 この類型では、大企業も対象となる場合があります。

3.4 セキュリティ対策推進枠

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されている セキュリティサービスの利用料を支援し、中小企業のサイバーセキュリティ対策を後押しします。

3.5 複数社連携IT導入枠

10者以上の中小企業・小規模事業者が連携し、ITツールなどを導入してインボイス制度対応やキャッシュレス決済導入に取り組む場合を支援する枠です。 地域や業界全体でのデジタル化推進を目指します。

4. 申請に向けた準備と注意点

4.1 採択を目指すための準備

補助金の採択を勝ち取るためには、事前の周到な準備が不可欠です。

  • 業務課題の明確化と具体的な改善目標の設定: 自社のどのような業務に課題があり、ITツールやAI導入によってどのように改善したいのか、 具体的な目標を数値などで設定することが重要です。
  • 導入したいITツールやAIサービスを事前に比較検討: 補助対象となるツールは多岐にわたるため、自社の課題解決に最も適したツールやサービスを事前に徹底的に比較検討しておくべきです。
  • IT導入支援事業者との早期連携: 補助金申請には専門的な知識が必要となる場合があります。 IT導入支援事業者と早期に連携し、申請準備から導入、運用まで一貫したサポートを受けることが採択への近道となります。

4.2 重要な評価基準

本補助金では、以下の点が採択における重要な評価基準となります。

  • 賃上げへの貢献: 最低賃金の引き上げに取り組む事業者には補助率の優遇があることからも、 賃上げへの貢献意欲が高い事業者が有利となる可能性があります。
  • 生産性向上への貢献: 導入するITツールやAIサービスが、いかに事業の生産性向上に寄与するかを具体的に示すことが求められます。

4.3 公募スケジュールと最新情報の確認

  • 公式発表状況:2026年1月現在、本補助金の正式な公募要領はまだ発表されていません。
  • 予測スケジュール: 例年の流れから、2026年春から初夏(3月下旬~5月頃)にかけて公募が開始されると予想されています。 ただし、事務局の変更や不正受給対策の強化などにより、開始が遅れる可能性も考慮しておく必要があります。
  • 中小企業庁からの案内: 中小企業庁からは、2025年12月に「デジタル化・AI導入補助金」に関する案内チラシが発表されており、 詳細はこちらで確認できます: 中小企業庁(案内チラシPDF)
  • 情報源:最新情報は、IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)の公式サイトで随時確認することが推奨されます。

5. まとめ:AI活用で未来を切り拓く中小企業へ

5.1 補助金の重要性

「デジタル化・AI導入補助金」は、日本経済が直面する人手不足の解消と、中小企業の生産性向上に不可欠なAI・デジタル技術導入を強力に後押しする、 非常に重要な施策です。この補助金を活用することで、中小企業はDXを加速させ、持続的な成長を実現する大きなチャンスを得ることができます。

5.2 成功への鍵

この制度を最大限に活用し、成功を収めるためには、自社の課題に合わせた最適なツール選定、そして計画的な準備と最新情報の継続的な収集が鍵となります。 AIを積極的に導入し、変化の激しい時代を乗り越え、未来を切り拓く中小企業がこの補助金によって増えることが期待されます。

参考・出典

  • 中小企業庁(デジタル化・AI導入補助金に関する案内チラシPDF):https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_it.pdf
  • 経済産業省・中小企業庁(補助金制度の主管)
  • IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)公式サイト(最新情報の確認先)
  • 独立行政法人情報処理推進機構(IPA):「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」(セキュリティ対策推進枠の関連情報)

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