合同会社設立ガイド|特徴・手続き・費用・メリット・デメリットを行政書士が徹底解説

本記事の内容
・ I. はじめに:合同会社とは
・ II. 合同会社設立のメリット
・ III. 合同会社設立のデメリット
・ IV. 合同会社設立の主な流れ(6ステップ)
・ V. 合同会社設立に必要な主な書類
・ VI. 合同会社設立にかかる費用
・ VII. 設立後の手続き
・ VIII. 合同会社設立に関する法務局等の公式情報とガイド
・ IX. まとめ
I. はじめに:合同会社とは
合同会社(Gōdō Kaisha)は、米国のLLC(Limited Liability Company)に相当する日本の企業形態です。出資者全員が有限責任社員となり、会社債権者に対しては出資額を限度として責任を負います。
株式会社と比較して設立手続きが簡素で、費用を抑えられるのが特徴です。これにより、特に小規模な事業やスタートアップに適しています。
日本で事業を開始する際の選択肢の一つとして、その柔軟性とコスト効率の良さから注目されています。経営の自由度が高く、意思決定を迅速に行いたい場合に特に有効です。
II. 合同会社設立のメリット
A. 設立費用・ランニングコストの低さ
- 定款認証手数料が不要(株式会社との違い)。
- 電子定款を利用すれば印紙税4万円を節約可能。
- 役員任期更新が不要なため、更新費用がかからない。
- 決算公告義務がなく、行政負担が少ない。
B. 経営の自由度と意思決定の迅速さ
- 出資者=経営者のため、意思決定が迅速。
- 定款で柔軟な利益配分・運営方法を規定可能。
- 株主総会が不要で、経営判断をスピーディーに行える。
C. 出資者の有限責任
出資額の範囲内で責任を負うため、個人資産が保護されます。
D. 税制上のメリット
- 法人化により、経費算入範囲が広がる。
- 資本金1,000万円未満なら設立後2年間、消費税免税の可能性。
- 所得によっては法人税率適用により節税効果。
E. 社会的信用度の向上
登記により、個人事業主よりも対外的信用が向上します。
F. 将来的な株式会社への移行可能性
事業拡大時に株式会社へ組織変更可能です。
III. 合同会社設立のデメリット
A. 社会的認知度・信用度の低さ
株式会社に比べて認知度が低く、取引先や金融機関から信用度が劣る場合があります。
B. 資金調達方法の限定
- 株式発行ができず、多額の資金調達が難しい。
- 上場(IPO)を目指すことができない。
C. 経営上の意見対立リスク
全社員が業務執行権を持つ場合、意見対立が経営停滞を招くことがあります。
D. 権利譲渡・事業承継の複雑さ
株式がないため、持分譲渡や承継の手続きが複雑になります。
IV. 合同会社設立の主な流れ(6ステップ)
A. ステップ1:会社基本情報の決定
- 商号(会社名):「合同会社」の文字を含め、ひらがな・カタカナ・漢字・英語の使用が可能。商号調査を行い、商業登記法第27条に基づく同一商号・同一本店所在地の有無を確認。
- 事業目的:事業内容を具体的に定める。
- 本店所在地:バーチャルオフィス利用可だが、郵便物受領体制を確認。
- 資本金額:最低1円から可能。社会的信用を考慮し50〜300万円を推奨。
- 社員構成:代表社員・業務執行社員を選定。
- 事業年度・決算月:任意に設定可能。
B. ステップ2:法人用の実印作成
代表印・銀行印・角印を用途に応じて作成。費用は約1万円が目安。
C. ステップ3:定款の作成
- 会社の基本規則を定める重要書類。
- 合同会社は公証役場での認証が不要。
- 電子定款の利用により印紙税4万円を節約可能。
D. ステップ4:出資金の払い込み
定款作成後、決定した資本金を出資者個人の口座に払い込み、通帳コピー(表紙・裏表紙含む)を製本して払込証明書を作成します。
E. ステップ5:登記に必要な書類を作成
- 登記申請書・印鑑届書・払込証明書などを準備。
- 現物出資がある場合は財産引継書など追加。
F. ステップ6:法務局に登記書類を提出
- 管轄法務局に書面またはオンライン申請。
- 不備がなければ1〜2週間で登記完了。
V. 合同会社設立に必要な主な書類
A. 基本書類
- 定款(全社員署名または押印)
- 登記申請書(会社情報を記載)
- 印鑑届書(会社実印を登録)
- 代表社員の印鑑登録証明書
- 払込証明書
B. 必要に応じて準備する書類
- 代表社員・本店所在地・資本金決定書
- 代表社員の就任承諾書
- 登記事項を記録したCD-Rまたは書面
- 収入印紙貼付台紙(登録免許税納付用)
- 委任状(司法書士へ依頼時)
- 現物出資証明書(財産引継書など)
C. 外国法人が設立する場合の追加書類
- 外国会社の設立証明書・登記証明書・宣誓供述書
- 外国代表者のパスポートコピー
- 日本側代表社員の身分証明書
- 署名証明書(非居住者)または印鑑証明書(居住者)
- 本店所在地証明書(賃貸契約書等)
VI. 合同会社設立にかかる費用
A. 法定費用
- 登録免許税:資本金の0.7%または6万円(最低6万円)
- 定款印紙税:紙の場合4万円、電子定款なら0円 ただし、電子認証登録を自分でするとソフトと認証契約で約4万ほどかかります
- 定款認証手数料:不要(株式会社は3〜5万円)
- 自己設立時費用合計:約6〜10万円
B. その他の実費
- 実印作成費:3,000〜10,000円程度
- 証明書発行料:印鑑証明書390〜450円、登記事項証明書520円など
C. 専門家への依頼費用
- 司法書士:8〜12万円
- 税理士:5〜9万円
- 行政書士:5〜10万円
- 総合サポート:7.7万円程度(定款作成・登録免許税・報酬含む)
D. 費用を抑える方法
- 電子定款で印紙代4万円を節約。
- 自分で手続きして報酬を削減。
- 特定創業支援事業の活用で登録免許税が半額。
- オンライン設立サービス利用で約3万円節約。
- 資本金1,000万円未満設定で消費税免税メリット。
E. 設立後のランニングコスト
- 法人住民税(最低均等割):年間約7万円
- 社会保険料:従業員雇用時に発生
- 税理士顧問料など:月額契約により発生
VII. 設立後の手続き
- 法人銀行口座の開設
- 税務署への各種届出(法人設立届・青色申告承認・給与支払事務所開設など)
- 地方自治体への法人設立届出(住民税・事業税)
- 社会保険・労働保険加入手続き(年金事務所・労基署・ハローワーク)
- 事業開始届の提出(業種により必要)
VIII. 合同会社設立に関する法務局等の公式情報とガイド
- 法務局「合同会社設立登記申請書(記入例付)」
- 法務省「オンライン登記申請ソフト」利用ガイド
- 「書類作成の手引き(合同会社用)」と「手順書兼チェックリストVer5.00」
- 商号調査(商業登記法第27条)で重複確認
- 代表社員印鑑証明書・会社実印の準備
- QRコード付きオンライン申請にも対応
IX. まとめ
- 合同会社は株式会社より低コスト・高自由度で事業開始可能。
- 定款・登記書類の作成と流れを正確に理解することが重要。
- 事業規模・資金調達・将来性を考慮して会社形態を選択。
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