中小企業新事業進出促進補助金

2025年度「中小企業新事業進出促進補助金」推進事業補助金について解説致します。

 

 

本記事の内容
【令和7年度】「中小企業新事業進出促進補助金」とは?対象となる事業者・事業を徹底解説

採択率を上げる!「中小企業新事業進出促進補助金」の必須要件と審査項目

申請前に確認!「中小企業新事業進出促進補助金」の応募手続きと必要書類

落とし穴に注意!「中小企業新事業進出促進補助金」の対象外経費と交付後の義務

過去の採択事例から学ぶ傾向について

まとめ

【令和7年度】「中小企業新事業進出促進補助金」とは?対象となる事業者・事業を徹底解説

1. 中小企業新事業進出促進補助金の「新事業」とは? 既存事業との違いと対象要件を解説

補助金の目的との関連

この補助金は、中小企業等が既存事業と異なる事業へ挑戦し、新市場や高付加価値事業へ進出することを支援します。 企業規模の拡大や付加価値向上による生産性向上、さらに賃上げに繋げることを目的としています。 したがって、「新事業」とは、こうした目的に沿って挑戦的な取り組みを指します。

「新事業進出」の定義

「新事業進出指針」に示される定義に該当する必要があります。具体的な考え方は「新事業進出指針の手引き」で確認できます。主な要件としては以下の3つが挙げられ、事業計画書では既存製品等と新製品等既存市場と新市場の違いを明確に記載することが求められます。

  • 製品等の新規性要件: 事業により製造等する製品等が、事業を行う中小企業者等にとって新規性を有すること。
  • 市場の新規性要件: 事業により製造等する製品等の属する市場が、事業を行う中小企業者等にとって新たな市場であること。 既存事業で対象としていなかった顧客層(ニーズ・属性)を開拓することがポイントとなります。
  • 新事業売上高要件: 事業計画期間終了後に、新たに製造等する製品等の売上高または付加価値額が、応募申請時の総売上高の 10%または総付加価値額の15%を占めること。
    なお、直近事業年度の売上高が10億円以上&新事業部門の売上高が3億円以上の場合は、当該事業部門の売上高/付加価値額を基準とする方法も可。

さらに、事業者にとって新規性が高いだけでなく、 社会においても一定程度新規性を有するものであるかどうかが審査で考慮されます。 社会における普及度や認知度の低さを、客観的データや統計を用いて説明する必要があります。

補助対象外となる「事業」

以下のような事業は、補助対象外となります。例示として、主たる内容を他社へ外注・委託してしまうもの、容易に実施可能な事業、不動産賃貸・資産運用などの事業、 1次産業(農業・林業・漁業)に直接取り組む事業(2次・3次産業化の要件を満たさない場合)、主に従業員の解雇による要件達成を目指す事業、 風俗営業等や暴力団との関係がある事業、二重受給になる事業などが挙げられます。

審査における評価ポイント

  • 補助対象事業としての適格性: 要件を満たしているか。
  • 新市場性・高付加価値性: 製品・市場の新規性、普及度の低さ、高価格化の源泉など。
  • 有望度: 市場規模・成長性、参入可能性、競合優位性・差別化の明確さ。

Q1. 中小企業新事業進出促進補助金の目的は何ですか?

A. 本補助金は、地球温暖化や食糧問題といった様々な社会課題の解決に貢献するため、企業や大学等の研究機関、そして公的機関が連携し、それぞれの強みを活かして新たなビジネスや成長産業を創出する取り組みを支援することを目的としています。単独の企業では解決が難しい社会課題に対し、オープンイノベーションによる社会課題解決型ビジネスの創出を促進します。特に、京都府が推進する「産業創造リーディングゾーン」に関連する取り組みや、グローバル展開を目指す取り組みなどが重視されています本補助金は、日本国内に本社および補助事業実施場所を有する中小企業等が、既存事業とは異なる新事業分野へ積極的に進出する取り組みを支援することを目的としています。具体的には、新市場や高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等の企業規模拡大、付加価値向上を通じた生産性向上を図り、最終的には賃上げに繋げていくことを目指しています。

Q2. 補助金の対象となる事業者の要件は何ですか?

A. 補助対象者は、日本国内に本社および補助事業実施場所を有する「中小企業者」、「特定事業者の一部」、または特定の条件下での「対象リース会社」に限られます。「中小企業者」は業種ごとに資本金または常勤従業員数の上限が定められています。「特定事業者の一部」には、従業員数や資本金等に特定の要件を満たす会社や個人、生活衛生同業組合、酒造組合、酒販組合、内航海運組合、技術研究組合などが含まれます。リース会社は、中小企業等との共同申請により、リースによる機械装置またはシステムの導入費用について補助対象となる場合があります。なお、過去に他の補助金の採択取消を受けた事業者や、不正行為を行った事業者、みなし大企業に該当する事業者などは補助対象外となります。

Q3. 補助対象となる事業の主な要件は何ですか?

A.

補助事業として認められるためには、以下の要件を満たす3~5年の事業計画に取り組む必要があります。 新事業進出要件: 事業により製造等する製品等が申請者にとって新規性を有し、かつその製品等が属する市場が申請者にとって新たな市場であること。また、事業計画期間終了後の新事業の売上高または付加価値額が、応募申請時の総売上高または総付加価値額に対して一定割合以上を占める見込みであること。 付加価値額要件: 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(または従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が基準値以上増加する見込みの事業計画を策定すること。 賃上げ要件: 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額または給与支給総額の年平均成長率が基準値以上増加することを目指すこと。目標値を達成できなかった場合、補助金の一部返還義務が生じる可能性があります。 事業場内最賃水準要件: 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業所内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準を維持すること。要件を満たせなかった場合、補助金の一部返還義務が生じる可能性があります。 ワークライフバランス要件: 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定・公表していること。 金融機関要件: 金融機関等から資金提供を受ける場合、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること。 賃上げ特例要件 (賃上げ特例適用の場合): 補助事業実施期間内に、給与支給総額を年平均6.0%以上増加させ、かつ事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げること。要件を満たせなかった場合、賃上げ特例による補助上限額引上げ分の全額返還義務が生じる可能性があります。

Q4. 補助対象となる経費にはどのようなものがありますか?

A. 補助対象経費は、補助事業の対象として明確に区分でき、必要性及び金額の妥当性が確認できる経費に限られます。主要な補助対象経費は以下の通りです。 機械装置・システム構築費: 補助事業に専ら使用される機械装置やシステム等の購入、製作、借用等にかかる費用。建物費かいずれかが必須となります。 建物費: 補助事業に専ら使用される建物の建設・改修、撤去等にかかる費用。機械装置・システム構築費かいずれかが必須となります。 運搬費: 運搬料、宅配・郵送料等にかかる費用。 技術導入費: 知的財産権等の導入にかかる費用。 知的財産権等関連経費: 補助事業の開発成果に係る知的財産権等の取得にかかる弁理士費用等。 外注費: 補助事業遂行に必要な検査等・加工や設計等の一部を外注する場合の費用。(補助金額全体の10%が上限) 専門家経費: 補助事業遂行に必要な専門家への謝金や旅費。(100万円が上限) クラウドサービス利用費: 補助事業に専ら使用されるクラウドサービスの利用にかかる費用。 広告宣伝・販売促進費: 補助事業で製造等する製品・サービスに必要な広告作成・掲載、ウェブサイト構築、展示会出展、ブランディング・プロモーション等にかかる費用。(事業計画期間内の総売上見込み額合計を事業計画年数で除した額の5%が上限) 汎用性のあるものや、既存事業に活用される経費、不動産購入費、人件費、各種手数料、公租公課などは補助対象外となります。

Q5. 申請手続きはどのように行いますか?

A. 本補助金の申請は、原則として電子申請システムで行います。申請に際しては、事前に「GビズIDプライムアカウント」の取得と、「次世代育成支援対策推進法」に基づく一般事業主行動計画の策定・公表が必要です。これらの手続きには時間を要するため、余裕をもって準備する必要があります。電子申請システムの操作方法や、添付書類のファイル名など、詳細については後日公開される「応募申請の手引き」や「電子申請システム操作マニュアル」を参照する必要があります。事業計画の作成にあたっては、「事業計画テンプレート」や「審査項目」を熟読し、具体的な内容を記載する必要があります。

Q6. 採択後の手続きや注意点はありますか?

A. 補助金交付候補者として採択された場合、事務局が実施する説明会への参加が必須です。交付決定前には、採択された事業計画の変更や事業承継は原則認められません。交付申請は原則として採択発表日から2ヶ月以内に行う必要があり、その際には補助対象経費の精査が行われ、減額される可能性があります。補助事業実施期間は交付決定日から14ヶ月以内(採択発表日から16ヶ月以内)であり、この期間内に事業の完了と全ての支払い、実績報告書の提出が必要です。補助事業により取得した財産には処分制限が課され、事業完了後も5年間は事業化状況報告書の提出義務があります。不正行為が発覚した場合は、交付決定の取消や補助金の返還命令、事業者名の公表などの措置が取られる可能性があります。

Q7. 外部の支援機関や専門家の活用について注意点はありますか?

A. 事業計画の作成や実行にあたって、認定経営革新等支援機関を含む外部支援者(事業計画作成支援者)の助言を受けることは可能ですが、事業計画の作成自体は必ず申請者自身が行う必要があります。外部支援者が作成した事業計画での申請は認められず、不採択または採択取消となります。また、サービス内容とかい離した高額な成功報酬の請求や、経費の水増しを提案するような悪質な業者には注意が必要です。不審な行為があった場合は、トラブル等通報窓口への連絡が推奨されています。申請時には、利用した事業計画作成支援者の名称、支援内容、報酬等を電子申請システムに入力する必要があります。

採択率を上げる!「中小企業新事業進出促進補助金」の必須要件と審査項目

2. 事業計画作成のポイント:中小企業新事業進出促進補助金採択のための戦略

計画書の構成要素

補助事業の申請は電子申請システムを通じて行います。公募要領「8.事業計画作成の概要」によれば、以下の項目を中心に計画を作成します。

  • 既存事業の内容(概要、具体的説明)
  • 補助事業の具体的取組内容(新市場進出指針への該当性、新規製品・市場の内容・目的)
  • 連携体の必要性(連携申請の場合)
  • 現状分析(事業状況、SWOT分析、新規事業の必要性)
  • 新規事業の新市場性・高付加価値性(いずれか、もしくは両方)
  • 新規事業の有望度(将来性、競合分析、優位性)
  • 事業の実現可能性(課題、スケジュール、実施体制、資金調達、従業員配慮)
  • 公的補助の必要性(イノベーション貢献、民間資金のみでは実現困難)
  • 政策面(政策目標への貢献)
  • 補助対象予定経費(内訳、必要理由)
  • 収益計画(売上高/付加価値額の成長性、賃上げ、最低賃金、水準目標)

記載の質に関する注意点

数値データやグラフなど定量的な情報を含め、根拠を明示したうえで定性的な説明を加えると説得力が高まります。 事業計画書には、新規事業の全体像や既存事業との差別化ポイントを、写真や図表を活用して分かりやすく記載しましょう。
また、事業と関係のない個人情報は掲載しないよう、情報管理にも注意が必要です。

審査項目との関連

審査委員会は「10.審査項目」に基づき、本事業計画の適格性や新市場性・高付加価値性、有望度、実現可能性、公的補助の必要性、政策面などを判断します。 高い付加価値の創出や賃上げの目標値が設定され、その実現可能性が高い計画は高評価を得やすくなります。

外部支援者の活用と注意点

認定経営革新等支援機関などの外部支援者からの助言は可能ですが、計画書の作成自体は申請者自身が行わなければなりません。 もし実質的に他者が作成したと認められると、不採択や採択取消のリスクがあります。
また、外部支援者がいる場合は電子申請システムにその情報を必ず記載してください。高額な成功報酬や不透明な契約を要求する業者には注意が必要です。

口頭審査の対象になった場合は、申請者本人(代表者・従業員等)以外の同席は認められません。よって、外部支援者に頼りきりでは対応できないため、十分に社内で内容を把握しておくことが大切です。

申請前に確認!「中小企業新事業進出促進補助金」の応募手続きと必要書類

3. 補助対象経費の徹底解説:申請前に確認すべき必須項目と注意点

補助対象経費の基本原則

補助対象経費は「必要性金額の妥当性を証明できるもの」で、かつ補助事業実施期間内に支出が完了するものに限られます。
また、機械装置・システム構築費または建物費のいずれかは必ず補助対象経費に含む必要があります。単なる消耗品費ばかりの事業では採択が難しく、事業計画の妥当性が疑われます。

主な補助対象経費の区分

  • 機械装置・システム構築費: 単価10万円以上の機械装置や専用ソフトウェア等。リース・レンタルも実施期間分のみ対象。
  • 建物費: 生産施設等の建設・改修費。単なる建物の購入や賃借は対象外。撤去費・構築物費のみの計上は不可。
  • 運搬費: 補助事業に必要な運搬料・配送費用。
  • 技術導入費: 知的財産権等の導入費用。特許庁への各種手数料は対象外の場合あり。
  • 知的財産権等関連経費: 開発成果に係る特許権等の取得費用。日本国内の権利化手続き手数料は対象外。
  • 外注費: 検査・加工・設計など一部業務の外注費。上限は補助金額全体の10%。外注先との契約や選定理由等を明確に記載。
  • 専門家経費: 弁護士、中小企業診断士、学識経験者等への謝金や旅費。上限100万円。謝金単価・内容の妥当性が要確認。
  • クラウドサービス利用費: 補助事業専用のクラウドサービス利用料。自社他事業との共用分は対象外。利用期間を補助事業実施期間内に按分。
  • 広告宣伝・販売促進費: 製品・サービスの広告費や展示会出展費、ブランディング等。売上見込み額の5%が上限。100万円以上のウェブサイト構築は要件定義書等が必要。

補助対象外となる経費

既存事業に活用される物品費、事務所家賃・光熱費、フランチャイズ加盟料、金融費用(借入利息等)、不動産購入費、飲食費、汎用品(パソコン・家具等)、自社人件費・旅費など、 様々な経費が対象外に該当します。
二重受給や不正受給、不当な価格設定に繋がり得る経費も対象外です。

価格の妥当性の確認

補助対象となる経費は、相見積もりを取って価格の妥当性を証明する必要があります。1件あたり50万円(税抜)以上の契約には、3者以上の同一条件下での見積もりが必須です。
また、金融機関確認書を発行した金融機関や支援機関との取引は認められないなど、細かい制限があります。

事前着手の禁止

交付決定日より前に契約や発注を行った場合、その支出は全て補助対象外となるため、注意が必要です。 どうしても事前契約が必要な場合は、必ず事務局へ事前相談を行いましょう。

支払い方法

補助対象経費の支払いは、銀行振込のみ認められています。現金払いや相殺・手形・小切手・オンライン決済サービスによる支払いは対象外です。
分割払いの場合でも、補助事業実施期間内に全額支払いを完了する必要があります。

リース会社との共同申請

中小企業等とリース会社が共同で申請するケースでは、ファイナンス・リース契約による機械装置の取得費が対象となりえます。 ただし、その際はリース会社も申請者として宣誓書提出が必要で、取得財産には処分制限がかかります。 中小企業等が支払うリース料そのものは補助対象外です。

落とし穴に注意!「中小企業新事業進出促進補助金」の対象外経費と交付後の義務

4. 採択後の手続きと義務:中小企業新事業進出促進補助金受給者が知るべきこと

補助事業のスキーム

本補助金の流れは、公募 → 申請 → 採択通知 → 交付申請 → 交付決定 → 補助事業実施 → 実績報告 → 確定検査 → 補助金支払 → 事業計画期間の継続報告となります。

採択後~交付申請前

  • 採択後に開催される説明会への参加が必須。
  • 交付申請は、通常採択通知から2ヶ月以内に行わないと採択取消となる可能性。
  • 交付申請時に経費が厳密に精査され、減額されることがあります。補助下限額を下回った場合は採択取消。
  • 応募申請時と異なる経費の追加は認められません。

補助事業実施期間

交付決定日から14ヶ月以内(ただし採択発表日から16ヶ月後の日まで)の期間内に、発注・納入・検収・支払い・実績報告書の提出まで完了する必要があります。
事業実施期間の延長は原則認められず、株主や役員変更でみなし大企業に該当すると交付決定取消の可能性があります。
補助事業は、採択された事業者自身が実施しなければなりません。

実績報告~額の確定

事業完了後30日または完了期限日の早い日までに、実績報告書を提出します。
実績報告時には実地検査が行われることがあり、補助事業が適切に行われたか厳しくチェックされます。
建物や設備への保険加入義務や経理書類の5年間保存なども求められます。

事業計画期間(事業化状況報告期間)

補助事業完了後も、5年間の定期報告(事業化状況報告)が求められます。賃上げ要件や付加価値額要件が未達の場合、一部または全額の補助金返還が発生する場合があります。
取得財産が単価50万円以上の場合、処分制限が法定耐用年数分適用され、譲渡や廃棄などの際には承認・補助金納付が必要です。

不正行為

虚偽申請や目的外利用などの不正受給が明らかになった場合、交付決定取消や加算金を含む返還が求められるほか、事業者名の公表や将来の公的支援制度への応募制限など、重大なペナルティが課される恐れがあります。

事業化状況報告や会計検査で虚偽報告が発覚しても同様の措置がとられる可能性があるため、 正確な記録管理と誠実な報告を徹底してください。

過去の採択事例から学ぶ傾向(新事業進出補助金)について

過去の採択事例から学ぶ傾向(新事業進出補助金)

第1回目の「中小企業新事業進出促進補助金」は過去採択事例が蓄積されていないため、近い趣旨を持つ 「事業再構築補助金」(特に「新分野展開」「事業転換」など新事業進出に類する類型) の採択事例から、採択されやすい傾向や注意点をまとめました。

1. 共通する目的と要件

「事業再構築補助金」の「新分野展開」「事業転換」は、 既存事業から離れた製品・サービスを開発し、新たな顧客層・市場を開拓する 取り組みを支援しています。これは 「中小企業新事業進出促進補助金」の新事業進出とも通じる部分が多く、 賃上げや付加価値向上が大きな目的になっている点も共通しています。

よって、新たな製品・市場を定量的に示し、企業の生産性向上(付加価値増)と雇用・賃金向上を狙う計画は 両補助金で共通して評価されやすいと考えられます。

2. 事業再構築補助金「新分野展開」等の採択事例から見る傾向

2-1. 新市場性を強調し、市場調査やターゲット戦略を具体的に示す

採択事例では、「ターゲット顧客層の分析」「新市場の規模・成長性」などを数値データを用いて明示するケースが多く見られます。 自社の既存顧客層とは全く異なる属性の顧客を取り込みたい場合は、その顧客層がどの程度のポテンシャルを持っているかを 統計やリサーチ結果で示すことが有効です。

  • 和菓子メーカーが海外市場向けの新ブランドを創出し、海外菓子市場の市場規模やトレンドを具体的に提示
  • 飲食店がデリバリー専門ブランドを立ち上げ、従来の店内顧客層とは別の「在宅消費者層」のボリュームや需要増を提示

こうした手法は「中小企業新事業進出促進補助金」でも「市場の新規性」を示すうえで参考になります。

2-2. 製品・サービスの“新規性”を具体的に示す

事業再構築補助金でも、新製品・サービスが「自社にとって初めて」であり、 なおかつ社会的にもまだ普及していないものであることを強く打ち出す事例が採択されています。 小規模な改良や単なる模倣ではなく、「既存にはない差別化ポイント」を提示することが求められます。

  • 自動車エンジン部品専門メーカーがEV向け軽量部品の開発に着手し、新技術を取り入れた独自性を訴求
  • 旅館業が新ブランドの食品加工事業を立ち上げ、全く別の市場(オンライン食品販売)への参入

2-3. 数値目標と収益シミュレーションの整合性が重要

採択事例の大半は、売上高や付加価値額の見込みを「数量×単価」など論理的な算出式で示し、 その根拠を示すデータ(過去の販売実績や試験販売の結果、業界予測統計など)を提示しています。 「なぜこの売上目標が達成できるのか?」をはっきり説明できる計画ほど評価が高いです。

また、補助金要件となる賃上げや最低賃金引き上げについても、 実現に向けた人件費増と収益のバランスを計画上で説明している事例が多くみられました。

2-4. DX(デジタル変革)やサステナビリティ要素が高評価

政策背景を受けて、IT化やデジタル技術活用、地域活性化や環境負荷低減といった 社会的意義が高いプロジェクトが採択されやすい傾向です。 例えばEC販売の導入、リモート接客システムの構築など、新規ビジネス×デジタル化の組み合わせは評価が高いと考えられます。

2-5. 事業アライアンスや外部連携で実現可能性を高める

新事業を自社単独で賄うのが難しい場合、他企業や大学・支援機関との連携を盛り込み、 不足する技術やノウハウを補完した上で採択された事例も多いです。実現可能性が高まるほか、 「公的補助がなければできなかった連携」というストーリーが強い説得力を持ちます。

2-6. 公的支援を受ける必然性(公的補助の必要性)が明確

「なぜ自力(民間資金や融資)のみでは実施が困難なのか」「補助金を活用することでどのような社会的波及効果が生まれるのか」—— こうした公的支援の意義を明快に示している事例が採択されやすい傾向でした。地域活性化や雇用創出、売上増を通じた 日本経済の底上げが期待できる計画は評価が高まります。

3. 注意点・落とし穴

  • 既存事業の延長線上の小改良になっていないか: 新規性・市場性が明確でないと不採択になりやすい。
  • 数値計画の整合性: 売上予測と費用計画、賃上げ計画がチグハグでは評価が下がる。
  • 賃上げ・最低賃金要件を軽視: 事業再構築補助金でも、要件を満たす賃上げ計画がないと採択は困難。
  • 補助対象経費ルールを誤る: 見積もり不備、二重受給疑い、事前着手等で不採択や減額が起こる。
  • スケジュールや許認可・リソース不足: 補助事業実施期間内に完了できない計画はリスクが大きい。

4. まとめ:新事業進出補助金で採択されやすいポイント

第1回公募で事例の少ない「中小企業新事業進出促進補助金」でも、 事業再構築補助金の採択事例と共通する評価軸があると予想されます。特に以下の点に留意することで、 採択の可能性を高められると考えられます。

  • 新規性・市場性: 自社にとって真に新しい製品・市場をデータで示し、社会的にも「普及度が低い」ことを強調。
  • 具体的な数値目標: 売上や付加価値、賃上げの目標と根拠を整合的に示す。市場規模やテスト販売実績のデータが鍵。
  • 政策面での訴求: DX、サステナビリティ、地域活性化などの視点を盛り込むと評価が上がりやすい。
  • リソースと実現性: 外部連携や専門家活用、社内人材の育成計画など具体策を示し、実行可能性を高める。
  • 公的補助の必要性: 民間資金だけではリスクが大きいが、補助を得ることで売上増・雇用拡大の波及効果を生むという ストーリーを明確化。
  • 補助対象経費・手続きルールの順守: 事前着手禁止や相見積もりなどの実務ルールを守り、二重受給や不正の疑いを回避。

こうした視点を踏まえて事業計画を作りこむことで、「新事業進出補助金」の採択率を高めることに繋がります。

【まとめ】令和7年度「新事業進出補助金」を最大限に活用しよう

令和7年度から始まる「新事業進出補助金」は、中小企業が既存事業とは異なる製品・サービスを開発し、新たな市場へ参入する挑戦を支援するための制度です。 補助金の活用によって生産性向上や賃上げなどを実現し、国内外のビジネスチャンスをつかむ企業が増えることが期待されています。

2.新事業進出補助金のポイント

(1)「新規性」と「市場の新規性」の明確化

自社にとって初めて取り組む製品・サービスであること、そしてこれまで対象としてこなかった新たな顧客層や流通チャネルを開拓することが必須です。 計画書には、既存事業との差別化を明示し、市場調査データなどを活用して新規性を論理的に説明しましょう。

(2)付加価値・賃上げ要件

生産性向上を目的とする本補助金では、付加価値額の大幅な向上と併せて、従業員の賃上げを見込むことが求められます。 計画時には、売上予測と人件費計画を整合的に示し、賃上げを現実的に達成するストーリーを構築しましょう。

(3)公的支援の必要性

事業再構築補助金と同様に、「なぜ民間資金だけでは実現が困難なのか」「補助金がどう事業リスクを下げ、地域経済へ波及効果をもたらすのか」という 公的支援を受ける必然性を示すことが重要です。

申請を検討中の方は、早めに公募要領をチェックし、連携体制計画をしっかり固めましょう。複雑な手続きに関しては、支援機関やコーディネーターに相談しながら進めるとスムーズです。ぜひ、本補助金を活用して、社会課題解決とビジネスチャンス拡大を同時に目指してください。

弊所では、各種補助金の申請サポートを引き続き行っております。本業で忙しく時間がとれない、 事業計画書などややこしそう・・・といった悩みがあればぜひ一度ご相談ください。初回相談は40分間無料で行っておりますので安心してご利用いただけます。
また、弊所では補助金申請~採択までだけではなく、採択後の実績報告等もしっかりとサポートさせて頂きます。

2025年度のその他補助金についてはこちらの記事でご紹介しております。
「2025年度補助金情報」

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