高市総理による補助金政策の展望:選別型支援と戦略的投資への転換

 

高市総理による補助金政策の展望:選別型支援と戦略的投資への転換

高市早苗氏が総理大臣に就任したことによる、日本の補助金政策は大きな転換期を迎える見込みです。単なる物価高対策に留まらず、日本経済の構造転換と安全保障の強化を同時に進める「戦略的経済政策」の一環として、補助金の位置づけが再構築されると予想されます。

行政書士 潮海俊吾

執筆・監修:行政書士 潮海 俊吾(シオミ シュンゴ)

京都府行政書士会(登録番号19272132号)

  • 補助金・DX支援実績 100社超 / 採択率73%
  • 開業2019年|補助金・経営革新・再構築支援専門

I. 総論:高市総理による補助金政策の基本方針

A. 「責任ある積極財政」の確立

高市総理の補助金政策の根底には「責任ある積極財政」の理念があります。財政の持続可能性に配慮しつつも、戦略的な財政出動によって強い経済を実現することを目的とします。結果として、補助金・交付金などの支援総額は全体として拡大する方向と見られます。
・2025年10月21日 高市総理 就任記者会見:「物価高対策を最優先」「ガソリン暫定税率は速やかに廃止」「経済対策策定を指示」等(※記者会見冒頭発言)
・2025年10月21日 自由民主党・日本維新の会 連立政権合意書:給付付き税額控除の制度設計着手、消費税(食料品)減税検討、2万円一律給付見送り、OTC類似薬の保険見直し等を明記
・2025年10月24日 第219回国会 所信表明演説:責任ある積極財政の下で強い経済を作る決意、物価高対策最優先(補正予算提出表明)、ガソリン税廃止法案提出と言及、医療介護への補助金前倒し支援、地方交付金拡充による地域支援、冬の電気ガス代支援、社会保障改革の国民会議設置呼びかけ、等
政府関係資料・報道:例えば閣議決定「基本方針」(10月21日付)には危機管理投資による成長戦略や責任ある積極財政の考え方が盛り込まれています。ロイター通信の報道やダイヤモンドオンラインの記事も、高市新政権の経済対策の骨子や給付付き税額控除への言及を伝えています。

主なポイント

  • 支援総額の拡大と景気下支え
  • 財政健全性への配慮とバランス

B. 「選別型」支援への転換

高市政権では「無差別なばらまき」から脱却し、国の重点政策と整合性の取れた「選別型」支援に転換する方針が明確です。補助金は将来的な成長性・波及効果・政策適合性を基準に重点配分され、財源の効果的運用が重視されます。

  • 重点分野への資源集中(GX、DX、安全保障関連)
  • 地域・業種ごとの実効性評価の強化
  • 将来成長率・付加価値創出力を審査項目に追加

C. 「給付から投資へ」のパラダイムシフト

「給付から投資へ」という方針は、高市政権の経済政策の中心に位置づけられます。単なる短期給付ではなく、構造転換・技術革新・安全保障強化につながる「戦略的経済投資」として補助金を位置づけ、経済成長と国の安全を両立させる狙いです。

  • 日本経済の構造転換を促進
  • 研究開発・人材育成・供給網強化への重点投資
  • 安全保障と経済の両輪としての支援策

II. 総合経済対策の三本柱と補助金の役割

2025年10月21日の初閣議で高市総理が指示した「総合経済対策」は、以下の三本柱から構成されます。補助金は各柱の実行に不可欠な役割を担うと見られます。

■総合経済対策における補助金の位置づけ(三本柱) 高市総理は就任直後の10月21日初閣議で、速やかに総合経済対策の策定を指示しました。政府筋によれば、その経済対策は「物価高対策」「成長投資」「安全保障」を三本柱として策定されることが判明しています。 第一の柱である「生活の安全保障・物価高対策」について、高市氏は「この内閣が最優先で取り組むのは物価高への対応」と明言し、「物価上昇を上回る継続的な賃上げができる環境を整えることが政府の役割」と述べています。まさに物価高から生活を守るため、賃上げ支援や家計支援策に重点を置く考えであり、この分野では必要に応じた補助金・給付金措置が講じられる見込みです。例えば、高市総理はガソリン価格高騰への対応として、後述のように補助金や減税措置を組み合わせた迅速な対策を約束しています。

■第二の柱「危機管理投資・成長投資による強い経済」では、中長期的視点での戦略投資が強調されています。高市氏は所信表明で、「危機管理投資」を肝として日本の成長戦略を始動させると述べました。具体的には、経済安全保障、食料安全保障、エネルギー・資源安全保障、国土強靱化、サイバーセキュリティ、健康医療安全保障など「様々なリスクや社会課題」に対し官民連携で先手を打つ戦略的投資を拡大する方針です。高市内閣はそのために「日本成長戦略会議」を立ち上げ、これら重点分野で日本が持つ先端技術や製品・サービスを世界に展開し成長に繋げる決意も示しています。実際、経済対策にはAIや半導体など成長分野への投資支援も盛り込まれる見通しであり、高市氏としては政府の「積極的な投資スタンス」を対内外に示す考えです。

■GX(グリーントランスフォーメーション)・DX/AI・自動化・半導体・ロボティクス等への重点支援という方向性も、高市政権の成長戦略に合致しています。現時点で補助率引き上げ・上限額拡大といった具体策に言及した公式発言は確認できませんが、予算規模は前政権(石破前内閣の13.9兆円の経済対策)を上回る可能性が高いと報じられており、成長分野に対する相当規模の支援充実が見込まれます。

■第三の柱「防衛力と外交力の強化」については、文字通り安全保障・外交面の施策です。高市氏は初の女性首相として就任会見や所信表明でも、防衛力増強や外交力強化(自由で開かれたインド太平洋の推進、日米同盟強化等)に強い意欲を示しています。ただし、この分野は主に防衛予算や外交政策の領域であり、補助金政策との直接的な関係は限定的です。本報告では補助金に関する具体的な言及は防衛・外交柱では特になされていません(高市総理の発言内容を確認しても、防衛費増額や同盟強化が中心で、補助金は関与しない話題でした)。
従って、補助金政策の検証対象としては主に第一・第二の柱に関連する部分となります。

A. 生活の安全保障・物価高への対応

国民生活の安定と物価高対策が最優先。企業・生活者への直接支援や、賃上げを継続的に実現できる環境整備が柱となります。

  • 物価高対策を最優先課題化
  • 持続的な賃上げを実現する環境整備
  • 家計支援・エネルギー補助・低所得者対策

B. 危機管理投資・成長投資による強い経済の実現

経済安全保障、食料安全保障、健康医療安全保障、国土強靭化など、リスクに備える「危機管理投資」と、「成長投資」の両立を図ります。官民連携を軸に、研究開発・設備投資支援の補助金が拡充される見込みです。

  • 経済・食料・医療・国土の安全保障投資
  • 民間企業との共同出資・補助モデル
  • 「日本成長戦略会議」による産業分野横断的支援

C. 防衛力と外交力の強化

本項目では補助金の直接的活用は限定的ですが、防衛産業の技術開発や国際供給網強化に関連した研究開発支援が新設される可能性があります。

III. 主要分野における補助金政策の変更・拡充

A. 医療・介護分野への緊急支援

物価高と賃上げ対応のため、赤字に苦しむ医療・介護機関への支援を前倒しで実施。診療報酬・介護報酬改定を待たず、経営改善・従業員処遇改善につながる補助金を臨時措置する方針です。

  • 報酬改定前の前倒し補助
  • 赤字機関への経営改善支援
  • 関連補正予算の国会提出予定

B. 中小企業・農林水産業への支援強化

燃料費・資材費高騰による中小企業・農業・漁業への影響を緩和する補助金が拡充されます。地方創生臨時交付金を活用し、自治体が地域実情に応じて柔軟に交付可能な制度へと改修予定です。

  • 地方自治体による柔軟な補助金支給メカニズム
  • 赤字企業への重点支援
  • 設備投資・生産性向上・新事業進出の支援強化

C. 燃料価格高騰対策

ガソリン税の軽減・暫定税率撤廃を政策選択肢としつつ、法改正までのつなぎとして補助金を活用。地域交通や農業へのコスト転嫁防止、冬季の電気・ガス料金補助も実施される予定です。

  • ガソリン・燃料補助による価格安定化
  • 地域交通・物流・農業支援
  • 冬期エネルギー費支援措置

D. 戦略的投資・成長分野への集中

GX(グリーントランスフォーメーション)、DX・AI・自動化、経済安全保障、サプライチェーン強化、半導体、ロボティクスなどの成長分野への集中投資が行われます。これらは補助率・上限額ともに拡充が検討されています。

  • 重点分野:GX・DX・AI・安全保障・半導体・ロボティクス
  • 補助率・上限額の引き上げ
  • 科学技術・人材育成への投資

IV. 所得者層への支援と社会保障改革

A. 「給付付き税額控除」の導入検討

低・中所得者層への支援策として、「給付付き税額控除」の導入が検討されています。現役世代・勤労世帯・中間層を重視し、「頑張る人が報われる」構造を支える制度設計が進むと見られます。

  • 所得水準に応じた給付・控除の併用型
  • 制度設計に数年単位の準備期間を想定
  • 勤労意欲の維持・所得向上の促進

B. 消費税減税の選択肢保持

自民党税調では多数意見とならなかったものの、将来的な議論継続を明言。政策選択肢として減税も保持される見込みです。

C. 社会保障制度改革の方向性

給付と負担のあり方を巡り、有識者を交えた超党派の国民会議を設置。税と社会保障の一体改革により、「高齢者から現役世代へ」の構造転換が図られます。

  • OTC類似薬の自己負担見直し
  • 医療機関の電子化
  • データヘルス推進による効率的医療

D. 「高圧経済政策」と社会保障効率化

高市政権の「高圧経済政策」は人材流動性を高める一方で、医療・介護分野の人材確保リスクを伴います。社会保障給付のスリム化と重点配分により、制度全体の効率化を図る必要があります。

  • 社会保障給付の重点化
  • 人材確保のための再教育支援
  • 医療・介護体制の持続可能化

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