輸出・海外販路開拓・知財・コンテンツまで、目的別に制度を整理しました。
いま準備すべきは、9月30日に申請受付が始まるグローバル枠です。
9,000万円
グローバル枠 最大
2/3
グローバル枠 補助率
10/30
応募締切
1/2
外国出願費用の補助
・新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 グローバル枠:申請受付2026年9月30日〜10月30日(金)18:00締切。これが海外展開の本命です
・小規模事業者持続化補助金 第20回:申請受付2026年11月5日〜12月15日17:00
・知財の海外侵害対策・冒認対策商標の助成:応募受付期限2026年10月30日17:00(予算がなくなり次第終了)
※IP360の海外展開支援 第2回(6月19日締切)、新事業進出補助金 第4回(6月19日締切)、ものづくり補助金 第23次(5月8日締切)はいずれも受付を終了しています。
▶ この記事の結論(2026年8月19日時点)
2026年に海外進出で使える補助金の中心は、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」のグローバル枠です。輸出に向けた国内製造拠点の強化を、補助率2/3・最大9,000万円で支援します。申請受付は9月30日から、締切は10月30日18:00です。
そのほか、海外での権利化は特許庁の外国出願補助金(費用の1/2)、海外販路開拓は小規模事業者持続化補助金(第20回・11月5日〜)、コンテンツの海外展開はIP360が担当します。制度は「何をするか」で選び分けるものであり、「海外進出だからこれ」という単一の制度はありません。
30秒でわかる:2026年の海外進出向け補助金
・本命は新事業進出・ものづくり商業サービス補助金のグローバル枠。補助率2/3、補助上限は従業員数により2,500万〜7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円)、補助下限750万円。
・グローバル枠は海外旅費・通訳翻訳費も補助対象になります。海外での活動費を計上できる数少ない制度です。
・ただし支援対象は「輸出に向けた国内拠点の強化」です。海外拠点そのものへの投資は対象外で、取引先に頼まれて行う輸出も対象外になります。
・海外での特許・商標は特許庁の外国出願補助金で費用の1/2。窓口はジェトロと各都道府県等中小企業支援センターです。
・海外で権利を侵害された場合や、商標を冒認出願された場合の対抗措置の費用も2/3(上限500万円)で支援されます。
・海外展示会の出展費用や外国語サイト制作は小規模事業者持続化補助金で対応できる場合があります(第20回・11月5日〜12月15日)。
・コンテンツ(ゲーム・アニメ・マンガ・音楽・実写)の海外展開はIP360。ただし予算超過で第2回以降の公募がないメニューもあります。
・ものづくり補助金は第23次で終了。新事業進出補助金も第4回で終了し、いずれもグローバル枠を含む新制度へ再編されました。
・補助金以外に、ジェトロの新規輸出1万者支援プログラム、JICA、自治体の制度も併せて検討してください。
動画でわかる 海外進出向け補助金(要約)
※動画で使用している音楽:魔王魂
本記事の内容
・ やりたいことから制度を選ぶ(早見表)
・ 本命:グローバル枠(締切10月30日)
・ 海外での特許・商標を守る(外国出願補助金・侵害対策)
・ 海外販路開拓に使う(小規模事業者持続化補助金)
・ コンテンツの海外展開(IP360)
・ そのほかの制度と、終了した制度
・ 補助金以外の支援(ジェトロ・JICA・自治体)
・ 海外展開で補助金を使うときの注意点
・ よくある質問 ・ まとめ
やりたいことから制度を選ぶ(早見表)
「海外進出の補助金」という単一の制度はありません。何をするかで、使う制度が変わります。まずここで自社が当てはまる行を探してください。
| やりたいこと | 使う制度 | 補助率・上限 | 受付状況 |
|---|---|---|---|
| 自社製品を輸出するため、国内の製造拠点を強化したい | 新もの補助 グローバル枠 | 2/3 最大9,000万円 |
9/30受付開始 締切10/30 18:00 |
| 既存事業と異なる新市場へ進出したい(海外に限らない) | 新もの補助 新事業進出枠 | 1/2 最大9,000万円 |
9/30受付開始 |
| 海外で特許・商標を取得したい | 外国出願補助金 (特許庁/窓口はジェトロ等) |
1/2 | 実施機関ごとに複数回 |
| 海外で権利を侵害された・冒認出願された | 海外侵害対策支援 冒認対策商標支援 |
2/3 上限500万円 |
受付中 10/30 17:00まで |
| 海外展示会に出展したい・外国語サイトを作りたい | 小規模事業者持続化補助金 | 2/3 最大250万円 |
11/5受付開始 締切12/15 17:00 |
| コンテンツを海外展開したい | IP360 (コンテンツ産業成長投資支援) |
1/2 | メニューにより異なる (要確認) |
| 売上高100億円を目指す大規模投資 | 中小企業成長加速化補助金 | 1/2 最大5億円 |
第3次は未公表 |
※補助率・上限は枠や事業者規模により異なります。詳細は各章および公募要領をご確認ください。
1. 本命:グローバル枠(締切10月30日)
2026年に海外展開で使える制度のうち、金額・対象範囲ともに最も大きいのが「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」のグローバル枠です。ものづくり補助金と新事業進出補助金を引き継いで2026年に新設された制度で、3つある枠のひとつが海外展開に充てられています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支援の対象 | 輸出に向けた国内製造拠点の強化 |
| 補助率 | 2/3(3枠のなかで最も高い) |
| 補助上限 | 従業員1〜20人 2,500万円/21〜50人 4,000万円/51〜100人 5,500万円/101人以上 7,000万円 賃上げ特例の適用で最大9,000万円 |
| 補助下限 | 750万円 |
| 必須経費 | 機械装置・システム構築費または建物費のいずれか |
| グローバル枠だけの対象経費 | 海外旅費(補助対象経費総額の1/5・1回の渡航につき3名まで・1人50万円上限) 通訳翻訳費(30万円上限) |
| スケジュール | 申請受付2026年9月30日〜10月30日(金)18:00締切/採択発表2027年1月頃 |
海外旅費が計上できるのは大きい
補助金は原則として海外での支出を嫌います。そのなかで、グローバル枠は海外旅費と通訳翻訳費を対象経費に含めています。展示会視察、バイヤーとの商談、現地の規格調査といった渡航費用を計上できるのは、この枠の実務的な利点です。ただし補助対象経費総額の1/5という上限があるため、旅費を主目的とした計画は組めません。
締切まで2か月ですが、準備は今からです
締切は10月30日ですが、次の準備は申請直前に着手して間に合うものではありません。
- GビズIDプライム:発行に約1週間
- 一般事業主行動計画の公表:「両立支援のひろば」で1〜2週間(審査で不備が出ることもあるため2週間以上の余裕を推奨)
- 加点に使う認定:新規輸出1万者支援プログラム、日本の食輸出1万者支援プログラムはグローバル枠専用の加点です。登録に時間がかかります
- 相見積:契約先1件あたりの見積額合計が50万円(税抜)以上なら3者以上
- 決算書3期分:3期分を出せない場合は今期までをすべて添付
制度の全体像、3枠の選び方、加点17項目については新事業進出・ものづくり商業サービス補助金【2026年第1回】で詳しく解説しています。
グローバル枠で申請できるか、確認しませんか
「輸出したいが、国内拠点の強化にあたるのか判断できない」「取引先からの依頼で始まった輸出だが対象になるか」
この枠は自発的な海外販路開拓が要件のため、事業の組み立て方で対象・対象外が分かれます。
京都市中京区の行政書士が対応します。LINE・お電話・オンライン(Zoom)でご相談いただけます(全国対応・初回40分無料)。
2. 海外での特許・商標を守る
海外展開で見落とされやすいのが知的財産です。産業財産権は国ごとに取得する必要があるため、進出先が増えるほど出願費用がかさみます。ここには専用の補助制度があります。
外国出願補助金(中小企業等外国出願支援事業)
日本国特許庁に出願したものと同一内容の外国出願について、費用の1/2を助成する特許庁の制度です。対象になるのは、外国特許庁への出願料、現地・国内の代理人費用、翻訳費用などです。
実施機関はジェトロおよび各都道府県等中小企業支援センターで、公募時期・回数・上限額は機関ごとに異なります。年度内に複数回実施されることが一般的です。地域団体商標の外国出願については、商工会議所・商工会・NPO法人等も応募できます。
海外侵害対策・冒認対策商標の助成
出願だけでなく、権利を侵害されたときの対抗措置にも助成があります。
・海外での産業財産権に係る係争に巻き込まれた場合の対抗措置費用:2/3(上限500万円)
・日本で出願・登録済みの商標を、海外で第三者に無断で出願・権利化された場合に、相手方の出願や権利を取り消すために自ら提起する係争活動の費用:2/3(上限500万円)
いずれも応募受付期限は2026年10月30日(金)17:00とされていますが、予算がなくなり次第終了します。実施機関により運用が異なるため、該当する場合は早めに窓口へ相談してください。
3. 海外販路開拓に使う(小規模事業者持続化補助金)
小規模事業者にとって、海外展開の入口として使いやすいのがこの制度です。制度自体は海外向けに限定されていませんが、販路開拓の一環として海外向けの取組を計上できます。
海外展開で使える主な経費
・展示会等出展費:海外展示会への出展料、運搬費、通訳料・翻訳料。オンライン展示会・商談会も対象
・ウェブサイト関連費:外国語ウェブサイト・越境ECサイトの制作(上限30万円・税込)
・広報費:外国語のカタログ・パンフレット制作(上限30万円・税込)
・新商品開発費:輸出向けの包装パッケージ開発
第20回の申請受付は2026年11月5日〜12月15日17:00です。商工会・商工会議所が発行する様式4(事業支援計画書)の発行締切は12月4日と早いため、先に依頼してください。詳細は小規模事業者持続化補助金2026で解説しています。
4. コンテンツの海外展開(IP360)
ゲーム・アニメ・マンガ・音楽・実写の5分野を対象に、経済産業省が実施する大型の補助事業です。正式名称はコンテンツ産業成長投資支援事業費補助金、通称IP360と呼ばれます。日本発コンテンツの海外売上拡大という政策目標のもと、IPの新規創出から大規模作品の製作、流通基盤、海外展開までを9つのメニューで支援します。
海外展開に関係するメニュー
- 海外展開支援(IPエコシステム世界展開支援/ローカライズ支援/プロモーション支援):補助率1/2。海外向け広告宣伝費、イベント告知費、広報物のローカライズ費などが対象
- 大規模作品製作支援(ロケ誘致支援):海外スタジオのもとで日本の制作事業者が行う国内ロケ撮影やVFX等の編集作業を支援
ローカライズは海外発注でも対象になり得る
この制度の特徴として、海外向けのプロモーションやローカライズは、実作業を国内事業者に発注しても海外事業者に発注しても補助対象になり得ます(判断基準はどの市場に向けて展開するか)。一方、コンテンツを「作る」工程(企画・制作・編集等)は国内制作力の強化が目的のため、国内法人への発注が対象となる設計です。対象経費の可否は最新の公募要領で確認してください。
※旧制度のJLOX+(令和6年度補正 クリエイター・事業者支援事業費補助金)は2026年3月に事業終了し、コンテンツの海外展開支援はIP360へ移行しました。
5. そのほかの制度と、終了した制度
中小企業成長加速化補助金
売上高100億円超を目指す中小企業の大規模投資を支援する制度で、補助上限は最大5億円です。輸出による外需獲得も評価軸のひとつとされています。第2次公募は2026年3月26日で受付を終了しており、第3次の公募時期は本記事作成時点で未公表です。令和8年度末までに複数回の公募が予定されているとされています。
グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金
グローバルサウス地域での事業展開を目指す企業を支援する経済産業省の制度です。2026年2月に「小規模実証・FS事業(二次公募)」の採択結果が発表されています。次回公募の有無・時期は経済産業省の公式情報でご確認ください。
終了した制度(誤って探さないために)
| 制度 | 現在の状況 |
|---|---|
| ものづくり補助金 | 第23次(2026年5月8日締切・8月7日採択発表)が最終回。第24次の公募はありません。グローバル枠は新制度に引き継がれました |
| 新事業進出補助金 | 第4回(2026年6月19日締切)が最終回。採択発表は9月頃の予定。新事業進出枠として新制度に引き継がれました |
| JLOX+ | 2026年3月に事業終了。IP360へ移行 |
ものづくり補助金と新事業進出補助金の統合については、ものづくり補助金2026(第23次の結果と後継制度)および新事業進出補助金は終了?後継との違いで解説しています。
6. 補助金以外の支援(ジェトロ・JICA・自治体)
海外展開では、資金より情報と人脈のほうがボトルネックになることがあります。補助金と並行して、次の支援も検討してください。
ジェトロ(日本貿易振興機構)
初めて輸出に挑戦する企業向けの新規輸出1万者支援プログラム、海外ビジネスに精通した専門家による伴走支援(新輸出大国コンソーシアム)、海外展開現地支援プラットフォーム、海外見本市のジャパンパビリオン出展支援などがあります。
新規輸出1万者支援プログラムと日本の食輸出1万者支援プログラムは、新もの補助グローバル枠の加点項目でもあります。登録しておく実務的な意味があります。
JICA(国際協力機構)
普及・実証・ビジネス化事業を通じて、開発途上国向けの海外展開を支援しています。公募時期・対象は公式情報でご確認ください。
地方自治体・その他
多くの自治体が、海外商談会・展示会への出展費用や旅費、通訳雇用費を対象とする独自の補助制度を設けています。単年度の公募が多く、年度替わりに順次公表されます。国税庁の日本産酒類海外展開支援事業費補助金のように、業種特化の制度もあります。お住まいの自治体の最新の募集を確認してください。
7. 海外展開で補助金を使うときの注意点
① 海外での支出は原則として通りにくい
補助金は国内の事業活動を支援する制度が大半です。現地法人の設立費用、海外拠点の設備投資、現地スタッフの人件費は対象外になるのが通常です。グローバル枠が海外旅費と通訳翻訳費を認めているのは例外的な扱いで、それでも補助対象経費総額の1/5という上限があります。
② 為替変動のリスクは自社が負う
補助金は交付決定時の計画額を基準に精算されます。円安で調達コストが膨らんでも、補助金額が増えるわけではありません。海外からの設備調達を計画に含める場合は、為替が振れても自己資金で吸収できる範囲かを確認してください。
③ 補助金は後払い(精算払い)
事業費はいったん全額を立て替え、実績報告と検査を経てから入金されます。海外展開は支出のタイミングが読みにくいため、立替期間を含めた資金計画が必要です。金融機関との調整が要る規模なら、申請前に相談しておいてください。
④ 交付決定前の発注は対象外
これはすべての補助金に共通する原則です。採択されただけでは事業を始められません。交付決定通知を受けてから発注・契約してください。海外の展示会は申込期限が早いため、この順序を守れるかを先に確認する必要があります。
⑤ 制度の入れ替わりが速い
海外展開系の支援は、単年度の制度や補正予算に基づく制度が多く、後継制度への移行が短期間で起こります。この1年でも、JLOX+はIP360へ、ものづくり補助金と新事業進出補助金は新制度へと切り替わりました。検索で見つけた解説記事が旧制度のままというケースが珍しくないため、必ず公式サイトで現在の公募状況を確認してください。
8. よくある質問
Q. 2026年に海外進出で使える補助金の本命はどれですか?
Q. 海外に工場や現地法人を作る費用は補助されますか?
Q. 取引先に頼まれて始めた輸出でも使えますか?
Q. 海外で特許や商標を取得する費用に補助はありますか?
Q. 海外展示会への出展費用は補助対象になりますか?
Q. コンテンツの海外展開はどの制度ですか?
Q. ものづくり補助金のグローバル枠はなくなったのですか?
Q. 補助金以外に海外展開の支援はありますか?
9. まとめ
・本命は新もの補助のグローバル枠(補助率2/3・最大9,000万円・締切10月30日18:00)
・グローバル枠は海外旅費・通訳翻訳費が対象になる数少ない制度
・ただし対象は輸出に向けた国内拠点の強化。海外拠点への投資と取引先主導の輸出は対象外
・海外での権利化は外国出願補助金(1/2)、侵害・冒認への対抗措置は2/3・上限500万円
・海外展示会・外国語サイトは持続化補助金(第20回・11月5日〜12月15日)
・コンテンツはIP360。ただしメニューごとに公募状況が違い、第2回以降がないものもある
・ものづくり補助金・新事業進出補助金・JLOX+はいずれも終了し、後継制度へ移行済み
・同じ経費を複数の補助金に重複して申請することはできない。制度をまたぐ場合は経費の割り当てを先に設計する
本記事は、各省庁・補助金事務局の公表情報に基づいて作成しています(最終確認日:2026年8月19日)。海外展開系の支援は、公募期間や後継制度への移行が短期間で変わります。申請時には必ず各公式サイトと最新の公募要領をご確認ください。
参考・確認先
- 中小企業庁・中小機構(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、小規模事業者持続化補助金、中小企業成長加速化補助金 等)
- 経済産業省「コンテンツ産業支援メニュー(IP360)」/映像産業振興機構(VIPO)・日本芸術文化振興会 等の各執行団体
- 特許庁「中小企業等外国出願支援事業」/各経済産業局
- ジェトロ(外国出願費用の助成、新規輸出1万者支援プログラム、海外展開現地支援 等)
- JICA(国際協力機構)
- 各都道府県等中小企業支援センター・地方自治体・国税庁の公式サイト
海外展開の補助金、どれを使うか整理しませんか
海外進出では、設備投資・知財・販路開拓・渡航費と、支出の性質がばらけます。どの経費をどの制度に割り当てるかで、受け取れる総額が変わります。
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