電子定款とは:定義から実務、法的根拠まで徹底解説

電子定款とは?

定義から実務・法的根拠・費用まで
行政書士が徹底解説します。

行政書士 潮海俊吾
執筆・監修:行政書士 潮海 俊吾
京都府行政書士会(登録番号19272132号)
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本記事の内容
1. 電子定款とは:定義と概要

2. 電子定款の法的根拠と役割

3. メリット ・ 4. デメリット

5. 作成から認証までの実務手順

6. 費用 ・ 7. 支援サービス

8. 特定法人における扱い ・ 9. 保存方法

10. まとめ

1. 電子定款とは:定義と概要

1.1 定款の基礎知識

定款は、会社の目的、商号、本店所在地、設立に際して出資される財産の価額、発起人の氏名または名称および住所といった会社の基本的な規則を定めた「会社のルールブック」です。会社設立時に作成が義務付けられており、会社法第26条に基づき義務化されています。

1.2 電子定款の定義

「電子定款」とは、会社の定款を紙ではなく電磁的記録(電子ファイル)で作成したものを指します。具体的には、定款の内容をPDFなどの電子ファイル形式で作成し、発起人全員が電子署名を付与したものです。

会社法第26条では、株式会社設立時の定款は原則「紙」に記名押印して作成すると規定されていますが、同条2項で「定款は電磁的記録によって作成することもでき、その場合は法務省令で定める方法で署名に代える措置を取る」と定められています。

この法務省令の定めに基づき、紙の署名・押印の代わりに電子署名を施すことで、電磁的記録による定款を有効に作成できます。したがって単に紙の定款をスキャンしてPDF化しただけでは、「電磁的記録による作成」とはみなされません。紙原本に署名押印した時点でそれは紙の定款であり、PDFはその写しに過ぎないためです。電子定款と認められるには初めから電子ファイルとして作成され、所定の電子署名措置が取られていなければなりません。

1.3 紙定款との比較

紙定款は押印・製本・保存が必要ですが、電子定款はデータ形式で署名し保存します。株式会社や一般社団法人などでは公証役場の認証が必要で、電子定款も同様に対象です。

電子定款として認められるためには、技術面で満たすべき要件があります。まず定款データは所定のPDFフォーマットで作成しなければなりません。作成後、そのPDFファイルに発起人(株式会社の場合)や社員(合同会社の場合)全員が電子署名を付与します。電子署名には、公的個人認証(マイナンバーカードの署名用電子証明書)や商業登記所発行の電子証明書など、法務省が認める認証局の証明書が必要です。

1.4 電子定款の導入背景と現状

2002年導入、2004年から電子認証開始。2019年にはテレビ電話認証も導入。現在では定款の約9割が電子化され、専門家が関与する場合は97%以上で利用されています。

2. 電子定款の法的根拠と役割

2.1 会社法での義務付け

会社法第26条により、株式会社設立時に定款作成が義務。公証役場での認証(第30条)が必要です。

2.2 電子定款の法的効力

PDF形式で作成された電子定款も書面定款と同等の効力を持ちます。電子署名により改ざん防止・本人確認が可能。

2.3 公証人による認証の必要性

株式会社・社団法人・弁護士法人などでは、公証人による原始定款認証が必要。不正防止や実質的支配者把握が目的です。

2.4 実質的支配者の申告制度

2018年改正で、定款認証時に実質的支配者の情報申告が義務化されました。

3. 電子定款を利用するメリット

3.1 印紙税4万円が不要

電子定款は印紙税法上の課税文書に該当せず、4万円の収入印紙代が不要です。印紙税法が課税対象とする「課税文書」が紙の文書に限られているためです。国税庁の公式見解でも、電磁的記録は印紙税の課税対象とならないと明示されています。

3.2 オンライン申請・効率化

法務省オンラインシステムを利用し、公証役場訪問の一部を省略可能。

3.3 設立日の柔軟指定

オンライン認証により、会社設立日を任意に調整可能。

3.4 ペーパーレス化とセキュリティ

印刷・製本が不要で保存効率向上。電子保存でセキュリティ・内部統制の強化にも寄与します。

4. 電子定款のデメリットと注意点

4.1 専用機器・ソフトウェアの初期費用

電子証明書付きマイナンバーカード、ICカードリーダ、署名ソフトなどが必要。導入コストが発生します。

4.2 専門知識と操作の手間

ソフト操作やオンライン申請の知識が必要です。

4.3 申請後の修正困難

一度認証された電子定款は修正不可。再申請が必要になるため、事前確認が重要です。

4.4 認証データの受領方法

認証済データはオンラインでは受領できず、公証役場でUSBメモリ等により受け取ります。

5. 電子定款作成から認証までの実務手順

5.1 必要な準備と機材

  • マイナンバーカード(電子証明書付)
  • ICカードリーダライタ(1,000〜4,000円)
  • Adobe Acrobatなど署名ソフト
  • 法務省PDF署名プラグイン
  • Windowsパソコン、Word等の文書作成ソフト

5.2 定款内容の作成

Wordで会社法の絶対的記載事項(目的・商号・本店所在地・出資額・発起人氏名住所)を盛り込み、PDF化します。

5.3 公証役場での事前確認

FAXまたはメールで公証役場に送付し内容確認。オンライン後は修正不可のため必須。

5.4 PDFへの電子署名

マイナンバーカードとリーダで電子署名を付与。改ざん防止設定を行います。

5.5 オンライン申請

法務省「登記・供託オンライン申請システム」より申請。電子公証→電磁的記録認証嘱託を選択し、署名済PDFを添付。

5.6 公証役場での認証と受領

予約後に来所し、本人確認・手数料支払いの上、USBまたはCD-Rで認証済データを受け取ります。2019年以降はテレビ会議方式の認証も可能。

6. 電子定款の費用

6.1 定款認証手数料

  • 資本金100万円未満:3万円
  • 100万円以上300万円未満:4万円
  • 300万円以上:5万円

6.2 電磁的記録保存手数料

約300〜500円が目安です。

6.3 同一情報交付費用(謄本代)

1枚250円。2通請求で約2,000円が目安。

6.4 その他関連費用

  • 収入印紙代:電子定款では不要(4万円の節約)
  • 機器購入費:ICカードリーダなど数千円
  • 登録免許税:会社設立登記時に15万円または出資額の0.7%のいずれか高い額

7. 重要な主体と支援サービス

7.1 日本公証人連合会の役割

定款記載例や「定款作成支援ツール」を公式サイトで公開。東京都・福岡県ではツール利用時に48時間以内認証の試行運用を実施中。

7.2 法務省の役割

「登記・供託オンライン申請システム」の提供、申請用総合ソフト・PDF署名プラグインの無償配布、「法人設立ワンストップサービス」との連携で登記・税務・社会保険手続を一括処理可能。

7.3 専門家への依頼

専門家に依頼すれば機器や知識の準備が不要。印紙税4万円が不要なまま、行政書士・司法書士・弁護士・税理士などが電子署名を実施します。

8. 特定法人における電子定款の扱いと変更

8.1 合同会社の場合

合同会社などの持分会社は公証人認証が不要。電子定款作成後、出資金の払い込みと登記へ進みます。

8.2 設立後の定款変更手続き

株式会社では株主総会の特別決議が必要。電子定款を直接変更せず、変更後定款を再作成します。定款変更時は公証人認証不要。登記事項の変更は別途登記申請が必要です。

9. 電子定款の適切な保存方法

電子定款はPDFデータとして永久保存義務があります。複数箇所にバックアップを取り、「設立年月日_会社名_定款」など明確な命名で管理します。電子署名関連データも併せて保存し、変更時には最新版に更新します。

10. まとめ

電子定款は、会社設立の費用削減と手続き効率化を実現します。印紙税4万円不要という大きな利点があり、ペーパーレス化・セキュリティ向上にも貢献します。一方、機材導入や知識習得のハードルもあるため、日本公証人連合会のツールや専門家支援を活用し、最適な方法でスムーズな設立を目指しましょう。

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